第5話:希望の結晶<キボウ・ノ・ケッショウ>
絶望に囚われたエネルギー生命体が光の粒子となって消えた後、ユウキは、彼らが最後に残した美しいクリスタルを回収した。クリスタルは、ネオ・クロノスのコックピットの中で、優しい光を放っていた。
「これが……彼らの希望……」
ユウキが呟くと、クリスタルから微弱な信号が発せられた。ヒカリは、アストロ・ハブでその信号を解析し、驚愕の声を上げた。
「ユウキ! このクリスタル……彼らの歴史が、すべて記録されているわ! そして、このクリスタル自体が、新たなタイム・ファクターとして機能する!」
ヒカリの解析結果は、信じられないものだった。このクリスタルは、絶望に囚われた彼らの歴史を記録し、それを乗り越えたことで、未来を創造する新たなタイム・ファクターへと進化したのだ。
「ネオ・クロノスに、このクリスタルを接続してみて!」
ヒカリの指示通り、ユウキはクリスタルをネオ・クロノスのメインシステムに接続した。すると、ネオ・クロノスのコアが、クリスタルから放たれる光と共鳴し、まばゆい光を放ち始めた。
「すごい……! ネオ・クロノスが、私たちの想像を遥かに超える力を引き出しているわ!」
リナがかつて経験したように、ユウキとヒカリの絆が、ネオ・クロノスに新たな力を与えたのだ。ネオ・クロノスは、もはや単なる探査機ではない。未来を創造する、真の「クロノス」へと進化したのだ。
その時、アストロ・ハブの通信回線に、別の信号が割り込んできた。それは、地球からはるか遠い宇宙にある、別の文明からの通信だった。
『……応答せよ……ネオ・クロノス……。我々は、君たちの行動を監視していた……』
声の主は、かつての「時の番人」に似ていたが、より威圧的で、敵意に満ちていた。
「誰だ!?」
ユウキが問いかけると、その声は冷たく告げた。
『我々は、「時の監視者」。君たちの歴史改変行為は、宇宙の秩序を乱す危険な行為だ。直ちに、その機体と、新たなタイム・ファクターを我々に引き渡せ』
ユウキは、クリスタルから感じ取った希望の光を強く握りしめた。彼らが手にした力は、再び宇宙の戦いの火種となってしまったのだ。
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