第8話:新たなる旅立ち<アラタナル・タビダチ>

クロノ・ゼロから託されたペンダントを手に、カイトとリナは新たな目的地へと向かっていた。それは、タイム・ファクターが隠されているとされる、地図には載っていない研究施設だ。その施設は「アストラル・ラボ」と呼ばれ、クロノ・ゼロたちがヴァージンを生み出してしまった場所でもあった。

「ここが……アストラル・ラボ」

リナが、巨大なクレーターの中心にぽっかりと開いた地下への入り口を見上げて呟いた。周囲はヴァージンとの戦いで荒廃し、植物ひとつ生えていなかった。

二人がクロノスとリナの機体で地下深くへと降りていくと、そこには広大な地下都市が広がっていた。そこは、数十年前に時間が止まったかのように、完璧な状態で保たれていた。

しかし、静寂な空間に突然、警報が鳴り響く。

「侵入者を確認。排除を開始します」

無機質な声が響き、無数の自動防衛システムが起動した。それは、過去のクロノ・ゼロたちが、タイム・ファクターを守るために設置した罠だった。

「来るぞ、カイト!」

リナが叫ぶ。カイトは即座にクロノ・ドライブを起動させ、迫り来るドローンを次々と切り裂いていく。だが、ドローンは無限に湧き出てくる。

「キリがないな……」

カイトは歯噛みする。その時、リナが新たなドローンを撃墜しながら叫んだ。

「カイト! これ、過去の自分たちのデータが使われてるわ! 私たちが訓練でやったことを読んでる!」

リナの言葉に、カイトは驚愕する。ドローンたちは、彼らの戦闘パターンを完璧に予測し、先手を打って攻撃してくるのだ。

「過去の俺たち……なら!」

カイトは、これまでの戦闘で学んだ、怒りや復讐心ではない、未来を守るための戦い方を思い出した。彼はクロノスをわざと危険な動きで操り、ドローンの予測を外させる。リナもまた、それに合わせて機体を動かした。

二人の予測不可能な連携に、ドローンたちは対応できず、次々と撃墜されていった。

「よし……これで、大丈夫か?」

カイトが安堵したその時、奥からさらに巨大な機動兵器が姿を現した。それは、カイトたちのエグゾフレームと瓜二つだが、禍々しいオーラを放っていた。

「……あれは、試作機か?」

リナが息をのむ。しかし、その機体からは、カイトとリナ、そしてクロノ・ゼロにも似た、複数の人格のデータが読み取れた。

「タイム・ファクターに、人格データが取り込まれている……!?」

カイトは、クロノ・ゼロが「過去の自分たち」と言った意味を理解した。この敵は、ただの機械ではない。それは、タイム・ファクターに囚われ、過去を変えようとしていた、クロノ・ゼロたちの怨念だった。

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