第7話:時の管理者<トキ・ノ・カンリシャ>
ヴァージン・ロードとの激戦の後、カイトとリナの前に現れた謎の男は、自分を「時の管理者」と名乗った。彼の背中には、クロノスと同じく時の輪を模した紋章が刻まれていた。
「君たちのクロノ・リバースは、本来、ヴァージン・ロードを倒すために作られたものだ。いや……正しくは、ヴァージン・ロードの誕生を防ぐためのシステムだ。」
男の言葉に、カイトは驚きを隠せない。
「どういうことだ? あんたは、一体誰なんだ?」
「私の名はクロノ・ゼロ。君たちが操るエグゾフレーム・クロノスの開発者であり、この時の紋章を持つ者たちの最後の生き残りだ。」
クロノ・ゼロは語り始めた。ヴァージンは、異次元から現れた存在ではなく、未来の人類が、時を遡るために開発した「タイム・ファクター」というシステムが暴走した結果、生まれたものだという。そして、ヴァージン・ロードは、この暴走を食い止めるために作られた、もう一つのタイム・ファクターだった。
「ヴァージン・ロードは、破壊と再生を繰り返すことで、過去の時間を改変しようとしていた。君たちの両親が命を落としたあの日の襲撃も、奴が過去を変えようとした結果だ。」
カイトの心を激しく揺さぶる言葉だった。彼の復讐の対象は、ヴァージンではなく、ヴァージン・ロードを暴走させた人間だったのかもしれない。
「私は、君たちに託すものがある。そして、最後の任務だ。」
クロノ・ゼロは、二人に手を差し伸べた。彼の言葉は、穏やかだが、確かな重みがあった。
「未来は、何度でも変えることができる。過去の悲劇に囚われず、未来を切り開く勇気を持つ者こそ、真の時の超越者だ。」
その瞬間、クロノ・ゼロの体が光の粒子となって消えていく。彼が残したのは、小さなペンダントだった。それは、カイトが幼い頃に両親からもらった、家族の写真が入ったペンダントにそっくりだった。
「クロノ・ゼロ……」
カイトは、何も言えずにそのペンダントを受け取った。彼の心は、怒りや憎しみではなく、未来への希望で満たされていく。
夜が明け、基地に戻ったカイトとリナは、クロノ・ゼロから託された情報を元に、新たな戦いに挑む決意を固めた。
「未来を変えるために……私たちは、何度でも戦う。」
リナは力強く言った。カイトもまた、静かに頷く。
ヴァージン・ロードとの戦いは、終わった。しかし、本当の戦いはこれからだ。カイトとリナは、クロノ・ゼロの遺志を継ぎ、ヴァージンが生まれる原因となった「タイム・ファクター」を停止させるために、新たな旅に出ることを決意する。
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