元校長先生、ボランティア職員として復帰!
小阪ノリタカ
元・校長先生の電撃復帰
4月の始業式からしばらくたったある日。
学校の校内放送で流れたのは、ちょっとびっくりするお知らせだった。
「今日から図書室に、新しいボランティアの方が来ます」
そのボランティアの正体は――白い髭をたくわえ、やさしい目をした 初老の男性。
この初老の男性は、かつてこの学校で校長をしていた佐伯先生だった。
「おやおや、みんな元気そうだね。私は少し前まで、この学校の校長先生をやっていたんだ」
1年生は「え?ほんとに〜?」「おじいちゃん先生だ!」と大喜び。
6年生は「うちのお母さん、佐伯先生のこと知ってるって!」と興奮気味。
◆図書室での毎日
佐伯先生は、ただ本を棚に並べるだけじゃなかった。
低学年の子に絵本を読み聞かせるとき、声のトーンを少し変えて登場人物になりきる
高学年の子には「冒険が好き?それならこのシリーズの本がおすすめだよ」と本をすすめる
借りた本の感想を聞いて「じゃあ次に読む本はこの本だね」と橋渡しをしてくれる
本の匂いが漂う静かな図書室は、気づけば笑い声が混じる居心地のいい場所に変わっていった。
◆登下校の見守り
今日、佐伯先生の姿は、図書室の外に居た。
下校時、校門の前や横断歩道のそばで、黄色い旗を持って立ってみんなを守っているのだ。
「佐伯先生、さようなら!」
「佐伯先生、また明日ね!」
大きなランドセルを揺らしながら帰る子どもたちに、佐伯先生はにこやかに手を振る。
ある日、1年生の子が「先生は、なんで毎日ここ(図書室)にいるの?」と聞いた。
すると佐伯先生は目を細めて答えた。
「それはね、みんなが無事におうちに帰れるかどうか、見ているんだよ。図書室の本だって、きちんと棚に戻ると安心するだろう?それと同じことさ」
子どもたちは「なるほど〜!」と笑顔でうなずいた。
◆エピローグ
夕方、図書室の窓から夕日が差し込むころ。
6年生の女の子がぽつりとつぶやいた。
「佐伯先生がずっと学校にいてくれるの、なんだかうれしいな。その、佐伯先生が図書室にいてくれると安心するって言うか……」
佐伯先生は読んでいた本をパタッと閉じて、ゆっくりと答えた。
「私にとってこの学校は、みんながいて初めて完成する『本』みたいなものなんだよ。だから、まだまだページをめくり続けたいんだ。だからずっとみんなの近くにいたいんだ」
こうして――
「元・校長先生がいる図書室」と「見守ってくれる登下校の道」は、子どもたちにとって安心と楽しみが同居する、大切な日常になっていった。
元校長先生、ボランティア職員として復帰! 小阪ノリタカ @noritaka1103
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