第23章

第23章 蒼穹を駆ける


 僕らは まず 役所を作り 重税で苦しんでいた民達のために 援助を開始した

「さぁ……ここへ」

 僕が 声をかけると 老婦人が プルプルと 震える足で やって来た

「お座りになられてください」

「息子は処刑され……孫まで……」

 泣き疲れたような 瞳を していた

「お辛かったでしょう……」

「殿下……」

「おやめ下さい クルト様 良いのですよ!ただの町長ですから……セレスと」

 老婦人は泣いた

「勿体のうございます」

 老いた手に 僕は触れた

「出来ましたら……面倒を見てくれた 隣人にいくばくか……」

「わかりました……治療院 手配と ご隣人と クルト様に 援助させていただきます 母が 治療院にいますので ……」

「ああ……セレス様」

「セレスと……」

 はい……はい……

 僕は 席を立つと そっと 老婦人の 足に 触れ癒し魔法をかけた

「これで震えはなくなるでしょう あとは治療院で……」

「勿体ない……勿体ない」

 老婦人は 何度も頭を下げ 役所を後にした

「よっ……町長!」

 ローニー!

 手には カイロスにオープンしたカフェの 紙袋を 持っていた

「やる……食ってねぇだろ?」

「あ……幻の サンドイッチ!」

 僕が 子供に帰れるのは ローニーの前だけだ

「そ……」

 そして1枚の 書類を申請した

 婚姻届……

 いよいよだね!

「ついに妻帯者ってか?」

 ローニーは頭をかいた

「アズミは?」

 ヤギの乳しぼりやるんだってさ

「はは……」

 認可っと!

 しっかしな 全ての神に祈る 祈祷所作るたあ

「だってね……みーんなが大事だもん!」

 僕は月影カフェの クリームチーズサンドにかぶりついた

「そこで式を挙げる初カップルだね」

「いやさ……その前にさ……みんなの意見でさ……アーチボルトさんとサニーさんの 式をやろうって計画があるんだよ」

ローニー……それって?

 ああ……もう決まってる!

 隠しといて……サプライズってさ!

「は……う」

 ポタ……ポタと 涙が 書類を ぬらす

「なんだよお前が泣くんかよ」

 ローニーが 僕の 髪を混ぜた

「喜ぶよ!もうね最高潮に喜ぶよ!」

「だといいなあ」

 ほれ……

 ハンカチをくれた

 お前も早く身を固めろよ!町長!

「うるさいよ!」

 ピッカピカの 笑顔で ローニーを 送り出した

 役所を閉めると 外へ出る

 子供達が 花束を 持ってかけてきた

「あのね……お兄ちゃん!パパとママのねブーケの練習してるの」

「馬鹿しーっしーっ声大きい!」

 家には10人の新しい家族が出来た孤児達だ

 キラッキラの笑顔を浮かべながら また駆け抜けて行った

「なーんかな!両親の式か……不思議」

 そこへラヴェナの 女の子が 真っ赤な顔で 駆け寄ってきた

 手には ブルーの包み

「あっ……あの!冷えます使ってください!」

 上擦った声でいって 僕の手に渡し

 ぴょこと お辞儀をして去っていった

「あ……の……」

 包みを開けると 丁寧に 織られた毛織のマフラー

 そして……手紙

「突然失礼をお許しくださいサラと言いますお見かけした時よりのファンです」

 几帳面な字の手紙

 ふわと 花のような香りがした

 可愛いな……僕は マフラーを 抱きしめると 家に急いだ


  式 当日 昼


 なんだろ……僕のが緊張してきたぞ!

 僕の役目は両親を 祈祷所へ連れて行く事

 そこに都の人全員で集まってサプライズ!!

 なんだよ!

「ほら……兄ちゃん!しっかり」

弟でも年嵩の カークが 僕の尻を叩いた

「こーら!」

 僕が言うと

「汗かいてんぞ兄ちゃん」

 そして僕を 押し出した

 父さん母さん!

「なぁに?」

 母さんは 相変わらず綺麗だ!

 父さんは かっこいい!

「ね……祈祷所行こうよ!」

「そうだな……行こうか……」

「いいわね」

 やった!

 僕が 内心ガッツポーズ!

 今から行こうよ!

 急ねぇ!母さんが 僕に手をとられて 走った

「まてまて……」

「父さん!老けたんじゃないの!」

「この無礼者!」

 父さんが祈祷所に 駆け込んだ

 パーーーン……パーーーン!

 花火が上がる

 父さんは硬直してしまった

 飾り付けられた祈祷所

 満杯の人そして垂れ幕

 アーチボルト サニー 結婚おめでとう!

 母さんは 泣いてるのにも気づいていない

 ロマの楽隊が 歌い ラヴェナが 踊る

 その中に 僕は サラを見つけた

「おめでとう!2人とも!」割れんばかりの拍手

 父さんは とうとう泣きだした

 しかも嗚咽を上げて

「泣くな新郎!新婦を エスコート!」

 ラヴェナの族長 その隣には ローニーそしてアズミ

「おめでとう!」

「おめでとう!」

 伝播していく 涙

「ほーら泣くなや……」

 ワイン屋の親父だ

 僕と目が会うとニッカリ笑った

 ほら!

 月影カフェの特大ケーキ

 そしてご馳走の山

 まーた気合入ってんな

ラヴェナ主婦連合軍の お手製らしい!

 ほらほらー

 父さん母さんは グイグイと中へ押された

 そして 可愛いブーケ

「綺麗……」

 母さんは……ブーケに 口付けた

娘さん達が ベールを持って来る

「サニー手を……」

 父さんが 調子を取り戻した

「アーチー……」

 真っ赤な母さんが手を置く

 そして拝殿へ進んだ

 そこには オリンポスの神々の 像と ロマの神の 像

 ラヴェナの 神の像が 祀られていた

祝福を……

 長老様が 2人のために祈った時

「あなたがたを許そう……」

 と 優しい包むような声が 皆の耳に 届いた

 ヘラ様?

 誰かが 結婚の女神様の 名を呼んだ

「わぁあ……ご神託だぁ……」

 みんなが大喜びし 父さん母さんは抱きしめあって泣き出す

「おめでとう……」

「おめでとう……」

 皆まで涙でぐちゃぐちゃだ

「次は若いの!お前さんだな」

 親父衆の誰かが僕の背を打った

 と……僕は何故だかサラを 探す自分に気づく

「ふ……」

 笑顔がこぼれた

 そうか僕はサラが好きになりかかってるのかもしれない……ならそれでもいいじゃないか そう思った







 雲間の空に 静謐なる水鏡 それを覗くはオリンポスの神々……

「カイロスを祝福しよう……戦は近づけぬ……」

 ゼウスが言った

「それが良いでしょう……」

 ヘラは 優しく笑った

「良き民……良き都市……良い子等よ……」

 神々は 数多の祝福を くだされたのであった



 …………私はここに宣言しよう……カイロスよ……永遠に……息子ら娘らよ……幸せにな……



 クロノスの 神託は都市を 包み 愛でる風になっていった



 終了

 


 

 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

破れ目のサニー 古都綾音 @earth-sunlight

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ