第18章
第18章 ブローチの謎
僕らは次の都市マーベルを 目指す
その都市は 風の都市と呼ばれる程 季節風がふくらしい
今日は嫌に冷える日だった
ぶるっ!
僕が首をすくめると 外套の 前を合わせた
と……ドク……
何かが脈打つのを感じた
「なんだ?セレス顔色が悪いぞ」
「ローニー!アズミ 」
背筋が震えた
「僕の 時空魔法の気配だと思ってたけど……違ってた!覚醒してわかった!これだ」
外套止めの ブローチを はずした
「異質な気配!嫌な魔法の気配がする!アイツらはこれを追って来てる」
冷や汗が伝う
汗が 風に冷やされて嫌に冷える
「まさか」
アズミが 触れた
ピシ……
手を弾く
「なんで……なんで気づかなかったの?」
アズミが唇を 噛んだ
4賢者なんていって!
ごめんねセレス!
いいんだ あまりにも微弱だけど 魔法装置だ!
僕は その魔法を 一旦封じた
「ローニー!1泊しよう!アズミも疲れたでしょ」
「お前……いい顔になったな!」
ローニーが頷く
「こいつを 利用する!」
「え……!セレス!危険よ!それを目掛けて来てるのよ!」
「いいんだ!人気の無いところだけ発動させて誘き寄せよう」
僕は思った!
もう2度と周りをまきこまない!
たたかうんだ!
ギリ……
ブローチを 握る
「戦おう」
「へへ!やろう」
ローニーが 手で僕の 肩を叩く
「急に男になりやがって!これで対等だな!セレス!
お前が あの時ワイン樽で 溺れたガキだとは信じられないぜ」
「もう……」
僕は頭をかいた
それは子供の頃だろ!
いじわるローニー
「可愛いじゃないの」
アズミが朗らかに言った
「でもいいの?」僕が2人の目を見る
「ん?」
「僕といるってことは 追っ手に狙われるって事だ」
「バカかお前!いいにきまってるだろ!俺はお前の 相棒だ!」
ローニーが 僕の手を強く握った
嗚呼ローニーと 握手するのはあの時以来だな!
僕はおもいだす
「私も行くわよ!ほっとけないじゃない?OK?」
アズミが 僕らの 手の上に 手を置いた
「さあ……宿とっちまお!フェスティバルが 近いとかで混んでるらしいからな」
3人で肩を並べて飛馬亭という宿に入る
「3人ね!」
「嗚呼とれるか?」
「運がいいね あんたらで埋まったよ!」
「おお!」
「おじさんありがと」
僕は会釈する
僕と ローニーは 相部屋
アズミは 隣室
ちょうどよかった!
夜も更けた頃
蝋燭の灯りの中で 僕はふと ローニーに こぼした
「ローニー……」
「あ?」
ローニーは 手を後ろでくんで 壁によりかかっている
「あのさ……」
「言えよ!」
「僕ね!実は」
口ごもる
「水臭いな……なんだ?」
「やっぱりこわいんだ」
「だろうな」
「うん……」
僕は手を見た
「また巻き込むのに……甘えて」
「お前な アホか?さっき言ったろ?」
僕が顔を上げた
「対等だってさ……仲間だよ俺とアズミは!行くさ」
「うん……うん……」
ガイナに戻る手もある
いいのか?
僕はローニーの目を見る
「またガイナに戻るのは危険だ 周りを巻き込む!ベヒモスまで呼ぶやつだ」
「ああ!」
迎え撃つ!
「いいね!」
僕の 髪をぐしぐしと まぜる
2人の影が蝋燭の炎で揺れていた
朝
アズミが コンコンとノックした
「おはよ!アズミ」
僕は晴れ晴れと 迎えた
あら!いい顔になってるじゃない?
昨日は 堪えてるふうだったのにね
「男同士の 話しさ」
ローニーが 僕の肩を抱く
なあ……
ワイン樽の 坊や!
「もう……何年前のはなしだよー」
ちょぴっと拗ねてみせて
アズミに 額を つつかれた……
「さ……行くんでしょ」
「うん……」
僕が頷く!
「改めてよろしくセレス!ローニー!」
アズミが もう片方の 肩に手を回した
「仲間っていいわね!」
アズミの声が ピンとはった 朝の空気に とけた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます