つづき
昼時 ふと下腹が暖かいのを感じた
何かに包まれているようで触れてみると 涙が止まらない
あ……
アニーは包むようにして前かがみになる
「どうした痛むのか?」
イオが駆け寄る
「…………きた…………みたい……」
アニー?
イオがアニーをだきよせた
「赤ちゃんができた……みたい」
「…………………………!……………………」
たぶん男の子よ!
イオは 顔をふせてぶるぶる震えている
「イオ?」
「い……」
「?」
「いやったーーーーー!」
なんだか凄まじい雄叫びに 近所がすっ飛んできた
どうしたね?
「具合いん?」
アニーを さするおばさん
「大丈夫です赤ちゃんができて」
「よっしやぁー………………………………」
これまたびっくり
アニーぱちくり
今日はまつりだぁ
と隣のおじさん
あんたは呑みたいだけでしょ
おばさんにピシャンとやられる
とにかくひやしちゃだめよ
村長さんまで
「孫ができたってかい!」
大仰な包みをテーブルに置いた
中にはご馳走ばかり
「とにかく寝ておきなさいよ?初期はね」
イオが すみません大声出して詫びている
「いんや当たり前さね赤ちゃんとくればね」
もはや
櫓は広場に組もうとか
ランタンはどうしようとか
おおさわぎ!
昨日来たばかりの怪しい夫婦を
そこまで祝ってくれるなんて
この村は 祝福されているんだろうな
アニーはおもった
なんか食べたかい?
ミルク粥つくろうか?
マルタが 袖捲りをする
さあさ……アニー
よこになってなさいな
「大丈夫です」
その油断がいけないのよ?
「初産でしょ?とにかく寝とくお祭りには 車椅子だしたげるから」
お粥できたらよぶからね
ミルクの甘いオートミールを煮込んだそのお粥は
すごくおいしかった
イオは髪を染めたらしく黒髪になっていた
ヘナだよ?
ヘナ?
植物で染めるのさ
すぐおちるから繰り返すんだよ
よっ……色男!
マルタが ぽんと 叩いた
イオは真っ赤になり
ありがとうございますと頭をさげた
アニーは2人の掛け合いをききながら
ふと……眠りに落ちた
あ……
髪が銀色の緑の瞳の青年
彼はセレスと名乗った
セレス!
母さん!
嗚呼あいたかった!
ふたりは ひしとだきあったのだった
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