【おまけ捌】 うああああああああああああっ!

「ところで小雨さん」

「ん~?」


「玄関の『靴』はいったい、誰のなんだい?」


 と、俺は気になっていた質問をぶつけた。すると、小雨さんは三秒――いや、五秒は固まっていたと思う。


 表情も青くなってきていた。

 え、なにその反応……。


「……し、知らないよ」

「小雨さんや家族のだったりしないの?」

「ううん、ありえないよ。だって、あたししか住んでないし」



 ――となると、まさか誰かが侵入済み!?


 まてまて、俺は念入りに部屋を回ったが、不審者はいなかったぞ。つまり、どういうことだ……?

 それとも、たまたま鉢合わせなかっただけ?


 ……いやいや、それでもおかしいって。



「さ、探してみるか……」

「う、うん」



 こうなると幽霊の方がよっぽどマシだ。人怖が一番心臓に悪いからな。しかし、解決しないままも気持ち悪すぎる。

 下手すりゃ知らない誰かが小雨さんの家に侵入済みかもしれないのだから。

 もしかしたら、ちょっと前に流行った闇バイト関係かもしれないし、用心するに越したことはない。


 常備している唐辛子スプレーを手にし、俺は小雨さんと共に改めて玄関をチェック。……やっぱり、黒い靴がある。



「これ」

「……うわ、本当だ。気づかなかったよ」



 どうやら、本当に知らない靴らしい。マジかよ。


 侵入者を見つけるべく、キッチンなども調べたが……特に人影はなかった。そもそも、いったい誰が? 溝口か?

 アイツなら燐の部屋に侵入した前科があるからなぁ……可能性はある。ヤツだとしたら納得がいく。


 だけど、一向に人間の姿は確認できない。どこだ、どこにいる?


 ……そういえば、二階の部屋の中までは確認していないな。さすがの俺も気配を探ったくらいだったからな。



「二階の部屋の中は?」

「そうだね、行ってみよ」


 階段をあがって二階の部屋へ。どうやら、小雨さんの部屋や父親の部屋があるらしい。それ以外は未使用で倉庫代わりにしているらしく、カギが掛かっている、と。


 ならば、小雨さんの部屋か父親の部屋が怪しいな。



「やっぱり……小雨さんの部屋かな?」

「……うぅ、考えたくもないけど、一番ありえるよね……」



 とうとう小雨さんの部屋の前まできた。まさか、この中に?

 小雨さんは青ざめ、震えながらも部屋の扉を開けた。


 なにげに初めて入れる小雨さんの部屋。

 明かりがつくと、そこは……いかにも女子のような室内があった。可愛らしいぬいぐるみがいくつかあったり、ピンク色の多い雰囲気。

 ノートパソコンとテレビ、そしてテーブルだとかベッドも。


 ん……このベッド、高さがあるな。

 細身の人間なら下に入り込めるようなスペースがあった。そういえば、子供のころにテレビのバラエティ番組でそういう企画を見た。

 ベッドの下、ギリ人も住める説みたいなの。


 あの高さならいけるかもな。



「……俺が確認する」

「お、お願いね、霜くん」



 ゆっくりと姿勢を低くし、俺はベッドの下を覗く。


 どうしよう、誰かそこにいたら。


 唐辛子スプレーをすぐに吹きかけるか……?


 それしかないよな。

 そんなところに潜んでいるヤツなんて、ヤバイヤツ一択だ。



 俺はついにベッドの下へ。



「…………」



 その瞬間、見知らぬ男と視線が合い――頭が真っ白に。



「うああああああああああああっ!!」

「そ、霜くん!?」


「だ、誰かいる!! 男が横たわってる!!」

「マ、マジで!! け、警察!!」



 ウソだろ、ウソだろ、ウソだろおおおおおおお……本当にいやがった。小雨さんのベッドの下に男らしき人物が!!


 なんでいるんだよ。そんなところに!!



 俺は直ぐに震える手で唐辛子スプレーを……!



【続く】

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