【おまけ玖】 終わらない人怖の恐怖
唐辛子スプレーを掛けようとしたが、俺は違和感を感じた。
……ん、あれ。
なんかこの男、抵抗してくる様子もなければ酔っぱらっているようにも見える。しかも、どことなーく小雨さんに近い雰囲気もあったし、俺はもしやと思った。
「小雨さん。この人って、お父さんとかじゃないよね?」
「え……ウソ」
小雨さんはしゃがんでベッドの隙間を覗く。すると、すぐに「なんでそんなところに!」と驚きの声を漏らしていた。……父親確定かっ!
どうやら、酔っぱらって小雨さんの部屋に入ってしまったらしい。
靴はたぶん、壊れたか何かで海外旅行中に購入したものじゃないかと結論に至った。その可能性は十分にあるな。
「よかったよ、不審者じゃなくて」
「う、うん。まさか、あたしのベッドに潜り込んでいるとは思わなかったけどね」
それに、日本に帰って来ていたことも想定外だったらしい。連絡なかったんだな。
本来ならナウル共和国辺りへ行っていたはずと、小雨さんは言う。どこだよ、それ……?
あとで調べてみたら、太平洋南西部らしい。そりゃ、知らないわけだ。
なんにせよ、溝口関係ではなくてホッとした。
俺も小雨さんも安堵する。
ひとまず……小雨さんの父親はそのまま放置することにした。そもそも、あんな状態では引っ張り出すのも不可能だ。
再びリビングへ戻り、一息つく。
「……よかった」
「うん。ビックリしたけど、父さんでよかったよ」
「これでもう安心だな」
「今日はリビングで寝よっか。明日早起きして、霜くんの家に寄ればいいと思うし」
「そうだな、カバンとか俺の家だからな」
そのプランでいこうと意気投合。
まさかの小雨さんの家で一泊できるとは……!
お父さんがいる状況で、若干気まずいけど。
きっとなんとかなるさ。
ノリで決めてしまったが、後悔はない。これでもっと小雨さんと距離を縮められた気がするし、ずっと一緒にいられるって最高すぎる。
「霜くんもお風呂使ってね」
「い、いいんだな」
「もちろん」
さっきまで小雨さんが使っていたお風呂を俺が……?
考えただけで心臓がバクバクだ。
小雨さんが使っていいと言っているのだから、断る理由もないし、ありがたく使わせてもらおう。
洗面所兼脱衣所へ向かい、俺は扉を閉めた。
…………さて、脱ぐか。
女子の家で服を脱ぐだなんて緊張しかない。さっきまで小雨さんも全裸で、今度が俺が全裸。意識するだけで頭がどうかなりそうだ。
『…………』
ん?
妙な気配を感じたような。
…………へ。
なんか、おかしくないか?
この脱衣所、人の気配があるぞ。
どこだ……どこに…………?
もしかして、小雨さんのお父さんが目を覚ましたか? 浴室の中?
――いや、違う!!
こ、これは…………『上』……に?
天井にいるのか。
恐る恐る見上げる。
『………………』
そこには“目玉”がギョロリと。
う、
うああああああああああああああああああああああああああああああああ……!!
【続く】
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