籠鳥恋雲

みぃ

あまりに自由





自由を確かめたくて

ちいさな鳥かごの鍵を外した


そう 私は鳥


勢いよく

飛び出せる


そう思ったのに


あっという間に

足枷に引っ張られる


それは めではみえない


こころにつながれた もの


結局 私は

外には出られない

  

体裁のいい

可愛い籠から


いまはでることがない


日常に張り巡らされた

蒼い罠に


それでも かからぬように


それが精一杯だわ


私のおかれた

立場を


決して不幸とは

言わないけれど


ひとり 背負う大事な

荷物は このごろ


なんだか重たすぎるの


大切な 温もりを

守るため


理不尽にも似た


私の人生を抱きしめる





わずかな自由を求めて鳥籠の鍵をそっと開けた


羽ばたく先は見慣れた窓辺

青空は手の届かない遠い場所


ほんの少しだけ許されたこの小さな世界で

私は歌う私の歌を

誰も知らない私だけの旋律

道端に咲く一輪の花

誰に踏まれることもなく

ただそこに在る

それは私が見たかった

本当の自由の姿


だけど今はまだ

蕾のままでいい

夜空に光る、星の瞬き

一つ一つが遠い場所から届く

自由への招待状

手を伸ばしても届かない

だけど見つめることはできる

いつかあの光に手が届くように

わずかな自由を私は胸に抱く

それは明日を生きるための

ささやかな希望


大切ないのちの

息吹きを きいている







黄金の檻

そこにいるのは拙いウタイテ

自由を夢見て

羽ばたくことを夢見て

ただ鳴いている

窓の外を眺め

広がる空に思いを馳せる

かつて飛んでいた場所を

忘れたくないと

思い出の歌を紡ぐ

それでも

この籠は温かい

餌も水も

絶えることはない

だから

この歌声は

哀しみと

感謝の

両方を含んでいる

いつか、扉が開く日を夢見て

それでもこの日々を愛している

鳥かごの中の

小さな

大きな世界



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籠鳥恋雲 みぃ @miwa-masa

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