ソファーはわたさん

 お迎えの連絡の数日後、センターから条件付きの譲渡許可がおりました。

 これは、必ず室内で飼うことや、妹がほぼ自宅にいる上で、世帯主の私が働いているということでOKが出たものです。

 結構な寂しがり屋なんだろうな、とぼんやりその時は思いました。


 おあげを迎える我が家は、これからの家族のことを考えてその前年に実家の隣に建てた新居です。もちろん、犬を飼うなんて想定もしていません。一番広いリビングの、ダイニングテーブルを横にずらしてペット用カーペットを2m×2mほど敷き、そこにペット用ベッドとクレートを置きました。


 叔母が以前飼っていた柴犬の男の子がいたのですが、その子のことすらほぼ触れなかった私。晩年になって、歩けなくなったその犬を抱っこしたのが初めて犬を抱っこした瞬間でした。もちろん排泄のお世話も、その子が元気な時から触ることすら難しくて怖がっていたのも覚えています。


 さあしかし、そんなペットなんて絶対飼わない、飼えない、許さない、のような家庭だった我が家に犬がくるのです。何が必要なのかも、どうしたらいいのかも、全くわかりません。


 妹はワクワクして母と一緒に犬用のグッズを買いに行きました。

 必ず首に鎖をつけておくようにと言われ、鎖を止めて重しにしておくポリタンクも一緒に用意してきました。


 犬を飼うと決めた際に、私が家族に言った言葉があります。


「でもソファーだけはいかん。絶対に触らせんし、ソファーの中身がリビングに舞ったら私許さんと思う」


 なんて心の狭い……!! と思いますが、犬も生き物も嫌いな私です。やっとの思いで買ったソファーがズタボロになるのは避けたかったんです。


 結果、先に言うと今となってはソファーはおあげのお気に入りスペースです。

 日々場所取り争奪戦をしていますが、カバーを隙間に詰めようとする以外は一切家具を傷つけるようなことはしませんでした。


 明日はおあげが我が家に来る。ワクワクして眠れない妹は、一生懸命犬の事を考えて準備をし、学んでいるようでした。

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