第30話 本当の気持ち
僕は全力で走った。
迷う必要は無かった。それは校舎の屋上であった。生徒の立ち入り禁止になっているが、アイカはどこからか屋上の鍵を手に入れてからは、アイカの秘密場所になっていた。
ここにいるのは間違いないない。それは予感を超えて確信的な物であった。
思った通り屋上の鍵は開いていた。僕は扉を開くとアイカの姿を探した。
「何しに来たんだ!」
アイカは僕の姿を見ると僕の登場が意外だったようで驚きの声を上げた。
「何しに来たって言われても、これが僕の答えだよ」
「何が僕の答えだよ。お前はミランダとやり直すんだろう。そのために苦労してミランダにお前の晴れ舞台を見せたんだぞ」
「ミランダさんに言われたんだよ。僕の事を本気で考えてくれているのが誰なのかを」
僕の言葉にアイカは困ってしまった表情をしたが、その表情の真意は僕には分かっていた。その思いに僕は真剣な眼差しで見つめた。
「ミランダへの思いは嘘だったのか?」
「嘘じゃないのは間違いないけど、僕がミランダさんに感じていたのは憧れの想いだったんだ。でも、君といる時の自分は凄く自分らしくて自然に笑顔でいられたんだ。その想いを大切にしちゃダメかな」
「そんな事言われたら私はなんて答えればいいか分かんなくなるじゃないか。ずるいじゃないか!?」
アイカの表情を見れば答えは聞くまでないようだが、アイカの口から素直な気持ちを直に想いを聞きたい。
「───────。」
「最初はからかい半分だったかもしれないけど、いつからお前のことを考えている自分に気がついていたけど、この想いは自分の中に抑えなければって思っていたのにアレクの口からそんな事言われるとは思わなかったの。私どうしたらいいの?あなたの想いに応えていいの」
「僕はアイカの答えに応じるよ。だから素直な気持ちを聞かせてよ」
その言葉にアイカが動いた。
いきなりキスをされてしまった。その事にどう反応していいか分からなくなってしまった。しかも、ファーストキスが女の子からとは言葉も無かった。
「何するんだよ」
「アレクが私の素直な気持ちが知りたいって言うからじゃん」
「それにしても突然じゃないか」
「私にとっては突然とか関係ないわ」
アイカのイタズラっ子の部分が出てきたのは間違いないだろう。それに過剰に反応する自分の不甲斐なさがやりきれなかった。
「ねぇ~アレク、この後は何か予定ある?」
「特に予定は無いけどどうして?」
「それを女の子に言わせるの」
珍しくアイカが顔を赤くしている。
いくら鈍感な僕でもアイカの言いたい事は理解出来た。理解は出来たがどう答えれば良いのか分からない。
「キスだって初めての僕には答えられないよ」
「それなら家においでよ。家の両親、殆ど帰ってこないからね」
僕はアイカ以上に顔が熱くなってしまった。こんなに恥ずかしいことは初めてであった。
「僕、初めてだよ」
蚊の泣きいるような声で答えると、アイカは声に出して笑った。
「そんなのキスの様子で分かるわよ。私は気にしないから私に任せなさい」
アイカは胸を叩いてみせた。それなら僕の初めてはアイカに決めた。
「お願いします」
アイカはもう一度胸を叩いた。
二人は連れ立ってアイカの家に入った。それは驚き広さと豪華さが感じられる立派なマンションであった。僕の実家とは違う事には開いた口が塞がらないとはこの事だろう。
「飲み物持って行くから、先に部屋で待っててよ。部屋は一番奥だからね」
そんな事言われても女の子の部屋に入るには勇気がいる。どうすることもできずに部屋の前でアイカがやってくるのを待つことにした。
ジュースをもってアイカがやって来たが廊下に立ってる僕を見て爆笑した。
「本当にアレクには笑わせてもらうわ~」
「いいからドア開けなさいよ」
言われて慌ててドアを開けると、アイカが先に部屋に入った。
「アレクも入って、入って」
入ったはいいがどうしていいか分からず立ち尽くしているとアイカは自分の隣のクッションを叩いて、隣に来るように促した。
緊張してアイカの隣に座ると、急に喉が渇きジュースを一気飲みした。
「焦らなくてもいいのに」
「あ、・・・・焦ってるわけじゃないよ」
アイカはまたキスしてくれた。今度は全身でキスを味わった。
それでもアイカの舌が入ってきたのにはビックリした。知識はあったが自分が経験するとは思わなかった。
「我慢出来ないでしょ。ベッドに行こうよ」
誘われるままベッドに横になった。どうしていいか分からずにいた。
「好きにしてもいいからね」
焦った僕はシャツの上からアイカの胸を力一杯揉んだ。
「乱暴はダメよ。今日は私に任せていいわよ」
アイカの体温を感じて僕は男になった。
心から満たされ、眠気が襲ってきて眠りに着いた。
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