今から悪者にされるようで

ゆめの

プロローグ

「放課後屋上来てね」


そう笑顔で話しかけてきたのは同じ「黒薔薇学園高等学校」の3年A組で

1年の頃から仲のいい「快」だ。

俺より背が少し高いくらいでツヤツヤとした水色の髪に吸い込まれてしまいそうな

丸い青い目を持っている「犬系男子」だ。男子からもモテているくらい可愛い。


「オッケー!」


俺も負けじと笑顔で返事をする。

さっきの授業で寝ていたからか髪がはねていることに気がついた。


「髪直してくるー!」


と快に伝え俺はトイレに走った。


「うわぁ、早くなおさないと」


ヘアアイロン、ブラシ、ヘアオイルなどをカバンから出し洗面台の鏡の前に置く。

__俺の方が可愛いと思う。毎日ケアをしている赤い髪に黒いメッシュが入っていて

襟ギリギリまで髪を伸ばしているから女の子みたいな柔らかい印象だ。

目も丸いし、大きいし何よりピンクと黄色のオッドアイが1番可愛い。

背も今の中では1番小さいし。まあ、俺の隣は満席だからな!


と考えているうちにケアを終わらせられた。


「お、また凛のナルシストタイムですか?」


茶化すように肩に手をかけてきたのは校内1のイケメン、優だ。

サラサラな桃色の髪に少し猫目の黄色い目。顔も整っている。


_鼻が高いのはずるい。_


「うるさいなぁ、ゆーちゃんもでしょ?」


ゆーちゃんっていうのは優の愛称だ。

なんか親しみやすいから、って快が決めた。

すると肩から手を離し鏡の前に来て


「その通り」


と言いウィンクしたり指ハートを作ったりしている。

いくらイケメンでもこれは引くわ、、と思いながらも荷物の片付けが終わったので

カバンを持って出口まで歩く。


「あ、かっちゃんに呼ばれてるから、先帰っちゃって」


そういうと少し不貞腐れたように頬を膨らませては


「じゃあ明日タピオカ奢りね」


と微笑み手を振ってきた。それに返すように俺も全力で手を振り屋上へ

駆け足で向かった。


_あ、もちろん、かっちゃんとは快のことだ_



________________________



「お待たせ!」


少し息切れしながら近づくといつもとは違う、無表情の快がいた。


「かっちゃん?どうしたの?」


そう近づきながら聞くと不満そうにこう答えた。


「ねぇ、優くんと別れてよ。」


「僕の方が先に狙ってたんだよ?」


「後から来たくせに奪い取って」


そういうとズカズカとこっちに歩いてくる。


「ねぇ、かっちゃ__」


そういいかけたところで彼の手が伸びてきた。

(たたかれるっ)

咄嗟に手を振り払いながら目を閉じる。


「ドンっ」


ゆっくり目を開けるとそこにはニヤリ、と笑う快がいた。





_______プロローグ終了_________





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