夏の浜

慈彷 迷獪

夏の浜 - 140字小説 3篇の追憶 -

140字小説コンテスト「季節の星々」 夏の星々

夏の文字「浜」を使って

1次選考落選作品


確かに存在した「夏」の季節、「浜」の文字。

3個の断片的追憶の欠片たちを、貴方へ


 終業式の日に見た、浜辺の砂を覚えている。放課後、灼熱の太陽の下、汗まみれで自転車を漕ぐ。途中、コンビニで寄り道もしてしまった。ペットボトルは、暑さで水滴まみれになっていた。ジュースを一気に飲み干して、私は海辺で砂ばかり眺めていた。君は隣で、海を眺める。転校なんて、したくないんだ。


 夏の恒例行事、ひとり旅。浜風が通り過ぎ、一時の涼しさを感じる。数年前は、こんな暑さでも平気で、何時間も歩き回ったものだ。海を眺めながら、口元にかき氷を運んでいたせいで、あっという間に完食した。海の自由さを感じたい。靴を脱ぎ、ゴミ箱にかき氷のカップを投げ捨て、勢いよく海へと走った。


 外になんか、出たくない。あり得ない暑さ、汗だってかいてしまう。俗世は嫌だ。煩く、雑音に満ち、他者と積極的に関わらなければならない。だから、クーラーの効いた涼しい部屋で、アイスを頬張り、TVで YouTubeの映像を流す。波の音、砂浜と海の映像美。室内で満喫する夏も、素敵なものさ。


(了)

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夏の浜 慈彷 迷獪 @jihou_meikai

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