手紙が届くまで
目が覚めて、その薄暗さと静かなノイズを知覚したとき、私は鼻歌を口ずさみたいくらい嬉しいような、静かに涙を流すのに浸りたいくらい悲しいような気持ちがした。
この雨では伝書鳩が飛ぶことはないだろう。もにょもにょとした不思議な思いを静かにさせるために、コーヒーを淹れてみて椅子に座ったが、窓辺ではその天候を意識させただけで何も意味がなさそうだった。
私の方から鳩を送ったのは、五日前。片道は三日弱と見積もったので、今日かそこらには帰ってくるだろう、と昨日早る心臓を落ち着かせて眠ったのに。さらに先延ばしにされて、私の寿命はますます縮まってしまう。いや、すぐに届いたとしてもさして結果は変わらないかもしれない。
私はやがて、高位学校への進学を控えている。なれば先に街へと出た先輩たちとの再会が迫っているのと同義だ。そこへ手紙を出したのは、新たな生活のために見知った先駆者の手を借りたいと思ったのが一つ。おすすめの住処、店、注意点、あわよくば手を貸してもらえれば幸運だ。もう一つ、それには私の記憶に焼き付いた、ある一人が理由になっている。あの日見たのは、私の知る中で最も自由に空を駆ける姿だ。箒までがその人の肉体であるかのように、いとも容易く操作を行う。あの先輩との再会を願いとして、数通と鳩は青空を羽ばたいていった。
今さあさあと音を立てて降る雨は、量が多くも粒が小さくてまるで砂のように思える。この雨が落ちきったら、間もなくして鳩は届くだろう。砂時計で時間を計るみたいに外を眺めて、その空が晴れるのを待ち続けるのみだ。
*
今日のお題
三つの言葉を必ず登場させてください:
「窓」 「手紙」 「砂」
物語スケッチ【短編集】 10^12 @10no12jou
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