第9話 ポスト・アポカリプス1 2031年

2031年 12月


 光の無いビルとビルの間、細川隆美は唇を噛みしめて惨状を見回した。

 死体の山だ。

 しかも大抵は隆美と同じか下の年若い少年や少女で、皆、人形のように肌が青白くなっている。


 それが『奴』の好みで『狩り』の獲物だから。


 中には大人や老人の死体もある。が、それらは少年達のそれとは明らかに違い、ぞんざいに頭を叩き割られて、爆発でもしたかのように、脳を四散させていた。


 一番惨い目に遭うのは中年くらいの、特に太めの男だ。恨みでもあるのか、『奴』は彼らを『家畜』として呼び、散々いたぶり苦痛の中で惨殺する。


「いつまで……」


 隆美は呟いていた。


「いつまでこんな事が続くんだ?」

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