第55話 奴等再び!3(明未の視点)
2030/4/2(火)PM4:30
「明未、蘭!」
「大丈夫ですか皆さん?」
現れたのは冬目さんと、座木さんだった。身長190cm程あり、尚且つスーツの上からでも解る筋肉をした座木さんを見て、国太はビビりながら。
「なっ!。何だ、あの筋肉大男は?」
「けど、隣の奴は大した事なさそうだぜ国太?。デカい方を2人で倒してしまえば問題無い筈」
安藤がそう言うとすぐさま、国太と安藤が走りながら座木さんに詰め寄ると、ノーマークの冬目さんが油断していた安藤を、そして国太を座木さんがあっという間に倒した。これで無事解決、と思いきや寿枝さんが。
「お前ら、大人しくしろ!。この2人のレ●プレイの動画をネットに流すぞ!。流して欲しく無ければ、警察が来たらこう言え。『ここに居る皆でパーティーしてました、警察を呼んだのは罰ゲームです』とな!。これで捕まる心配は無くなった訳だ」
「この土壇場でよくそんな悪知恵が働くっすね?」
「やっぱりこの人は九十九のお母さんだよ、九十九も智枝同様にずる賢いから…。」
「九十九を悪く言うな!。てかあたし今、壁の四隅に居るから、お花見の時みたいに主人を後ろから、不意打ち喰らわせるような事も出来ないよ。さあ、もうすぐ警察が来るから、さっき言った通りに答えて貰うぞ、アッハハハハハ!」
と勝ち誇ったように笑う寿枝さん目掛けて、誰かがバスケットボールを投げて、それが寿枝さんの手にぶつかり、寿枝さんはスマホを落とした。四隅に居たから逆に避ける事が出来なかった、すぐ傍に居た蘭お姉ちゃんが速攻でスマホを拾った。ちなみに、ボールを投げたのは蒼絵お姉ちゃんだった。
寿枝さんがスマホを奪い取ろうとして、蘭お姉ちゃんが蒼絵お姉ちゃんに投げて渡すと、蒼絵お姉ちゃんがスマホの中からSDカードを取り出し、そして真っ二つに割って壊した。
「皆、全部戸締りして来たよ~。って何、どういう状況なの今?」
戸締りを全て終えて戻って来た晃子が戻って来てすぐに警察が駆け付け、強盗4人組は逮捕された。病院内でパパとママの手当てと検査を行なった結果、命に別状は無かったと言われて安堵する中、こう切り出す。
「なんか、生誕祭どころじゃ無くなっちゃったね…。ていうか冬目さんと座木さんも誘ったんだ?」
「ああ。折角だから普段から色々助けて貰ってる両マネージャーも混ぜてあげたい、と思って2人を誘ったんだ。そしてインターホンを幾ら鳴らしても出ないから、アタシが前もって姉貴から貰ってた合鍵で開けて入ったら、あの有様だった、って訳だ」
「そうだったんすね…。てか冬目さんって実は強かったんすね?」
「ああ。一応中高大と柔道部だったし、今でも休日は体鍛えてるから」
「マジかよ!。頭だけでなく体も強えなんて、どんだけハイスペックなんだ?、痛てて。これじゃ今度のMスタ収録、俺無理だな…。」
「仕方無いです、キーボーディストは代役にお願いしますから、ゆっくり治療に専念して下さい。てか2人共、いつ頃退院出来そうですか?」
「あーしの怪我は大した事ないからすぐ退院出来ると思うけど、パパは多分半月は掛かるかも?、ってお医者さんが言ってたよ~…。」
こんな感じで会話を楽しみつつ、皆それぞれ帰宅の途に着いた。翌日の朝、昨日の事件が報道され、Mスタ春の3時間スペシャルで、パパとママが襲撃されて入院した事を、女子アナさんからやや大げさに告げられつつ、無事本番を終えた。元々Berryenの3枚同時リリースで『ラ●クの再来』と大盛り上がりだった所に、今回の事件で世間からの同情もあってか?、わたし達のCDが前代未聞な程売れた…。
2030/4/9(火)PM4:00
この日、わたし達は社長から『報告が2つある』と伝えられ、社長室に向かった。1つ目はCDの集計結果で、桜庭さんから売り上げを、下記のように報告された。
CDシングルデイリーランキング
1位 夢を絶対叶えるんだ! 506万枚
2位 わたし達のHome 503万枚
3位 闇夜の流星 502万枚
4位 闇夜の太陽 501万枚
5位 闇夜の月 500.5万枚
CDアルバムデイリーランキング
1位 Welcome to the Pandemonium 505万枚
2位 Ⅲ゛Digital Sound 504万枚
{上記の記載は作中のオリジナルの設定で、実在する売り上げ記録とは一切関係ありません。}
こんな感じで桜庭さんから伝えられると
「す、凄い。わたし達のCDが、初日だけでこんなに売れるなんて…。」
「ボクもっす!。でもアルバムでは、負けちゃったっすけどね…。」
「いや、これだけ売れればもう充分だ。問題はこの勢いをいつ迄キープ出来るかだ…。それで社長、2つ目の話とは?」
「そうだったな。今迄の実績が評価されて、デジタトゥとBerryenに『チェーコラ』からオファーが来てるぞ」
「あの、チェーコラって何ですか?」
「毎年4月中旬にアメリカで行なわれてる、世界最大級の音楽フェスだ。それに出られれば世界の人気アーティストとして認められたも同然だ!」
「やったね蘭お姉ちゃん!。わたし達とうとう、世界進出だよ~!」
「ボクもっす!」
「流石、あーしの自慢の愛娘達だよ~!。皆がアメリカに行く日はお父さんとお母さんを呼ばないと、新居も見せてあげたいし…。」
「ちなみに、出演日は2組共、4月21日日曜日となります。出発は20日の朝6時5分発の飛行機に乗って、21日にフェスに出演し、22日の早朝に向こうの空港からこっちへ向かい、羽田空港に到着後、現地解散、という流れになります。当日の引率は冬目君、宜しくお願いします」
「解りました。責任を持って引率します、一応英会話も出来ますし」
こうしてわたし達はBerryen共々、CDが歴代最高の初動売り上げを記録した事とチェーコラに出られる事を、ダブルで大喜びした。
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