郊外都市

小西電波

郊外都市

真っ白なモモンガマントに身を包み君が降り立つ市民公園


私たちの窓 私たちの誠実さ 妄想小鳥を手懐けて春


遁世なんてする気はないよと笑いつつ街をさきわうように歩いて


春雨に黒く潤んだアスファルト 犬は磁石のように引き合う


アスパラについた歯型を盗み取りFMラジオのボリューム上げて


歩くのが速い老婆に見惚れれば風に飛ばされゆく漢詩選


花冷えのセレンディピティ 君がいる街に私がいるということ


読み方が分からないままの地名 小さな川をわたるみたいだ


黒髪を口に含んで眠るときいつもほんのすこし涙目で


花びらを君が踏み抜き足跡はそっと残った  未来は確か

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