マッチングアプリで、とらわれの姫と♡

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 マッチングアプリで知り合えた女の子は、モデル級!お願い!私を、外して!そして、私を…♥

 「知っているのか?マッチングアプリで知らない子と知りあって良い感じの仲になるだけで、警察につかまってまうこともあるんだぞ」

 「?」

 そんなこと言われても、彼にはわからず。

 「マッチングアプリは、出会い系サイトといってだな…」

 「?」

 ああ、世代間ギャップ。

 今の子には、わからないって。

 だから彼はまた、アプリ経由で、無防備に発信していた。

 「モデルをしている女の子、いませんか?僕と会って、いろいろとおしゃべりしてみませんか?」

 正直にいえば、こういうことになる。

 「彼女、募集中です!」

 返事は、30分もせずやってきた。

 「それなら、私と会ってみませんか?私、モデルをやっている女子ですよ!メジャーデビューはまだでけど、自分自身をコツコツみがいて地道にがんばっています!」

 そんな言い方に、すぐ引き込まれていった彼。

 「私たち、ここで会いませんか?」

 「良いですね!」

 互いに、危機感がない。

 「いくぜ!修業中のモデル女子と会えるチャンス!」

 彼女の指定した場所に、到着。

 が、何かが変。

 「ここどこ?」

 何かの大工場の前にたたずむ、彼。

 「…何で、こんな場所で待ち合わせ?あ!」

 彼女を発見。

 先にきていたようだ。

 それにしても、おだやかでない。

 彼女は、純白のウエディングドレスに身を包み、全身を鉄格子でつながれた状態で大工場の入り口に立たされていたのだから。

 …いや、ちがう。

 鉄の格子は、良く見れば、プラスチックじゃないのか。

 彼女は、手も足も、頭も、何本ものプラスチックの棒につながれている。

 大工場を背に、とらわれの姫のような彼女が彼に叫んだ。

 「よかった!きてくださったんですね?私です私!」

 彼女は、なおも叫んでくる。

 「早くきて!」

 「…」

 「このランナーから、私を外して!私を組み立てて!」

 「…な、何なんだこの子!逃げろ!」

 最悪の予感。

「ランナーから外して組み立てる」

 その言い方だけでピンとくる人、どれくらいいます?

 帰りはじめた彼の背後で、彼女が不敵な笑み浮かべはじめた。

 「うふ♡私、プラモデル女子なの!」

 モデル…。

 あれ? 

 これ、モデルちがいですか?

 彼は、もう逃げられず。

 だって、プラモデル作りに使う接着剤で地面がベチャベチャ。

 きったねえ愛だなぁ。

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