ダーク校則
一筆書き推敲無し太郎
第1話
私は取材者だ。
私立と公立の違いはなんだろうか。それは校則が軽いか否かである。
公立の校則は緩いのだ。これは近年の公立であることを断っておく。東京都では教育的に道義がない校則は撤廃し、生徒や保護者と主体的に解決するという方針となっている。生徒指導提要では、「校則を制定してから⼀定の期間が経過し、学校や地域の状況、社会の変化等を踏まえて、その意義を適切に説明できないような校則については、改めて学校の教育⽬的に照らして適切な内容か、現状に合う内容に変更する必要がないか、また、本当に必要なものか、絶えず⾒直しを⾏うことが求められます。」と定められた。これは2022年の改訂による追記だ。主権者教育にも寄与するとか。
さて、公立は守られたということだ。よろしい、では私立ではこれが適応されるのか?というのが本論だ。私立も問題なく公立と同じ改訂が行われるかというとそうではない。なぜか?ここはダーク校則が蔓延っている云わば昭和期の校則だ。最も平素なのは黒髪だ。これは普通の校則だが、ここではRGBR:42 G:42 B:42 RGBの割合 R:16.5% G:16.5% B:16.5% という校則だ。これは併設された床屋・美容院で染髪を強要されるのだ。毎週月曜には校門でグリーンバックが配置され、黒のRGBと合致しているか検査される。光量で校則の適用とならないように閉ざされた地下に行くことになっている。校則を守るためだけに1時間目と2時間目を返上している。しかし大抵の生徒は校則違反となるため、染め直しが行われる。この校則はなぜ存置しているのかを教育的意義の側面から聞いてはならない。なぜか、それは利権だ。ここは床屋・美容院の最終着地点と言われ雇用が行われている。生徒はその利権を守るためだけに学習権の侵害が行われている。しかし月曜の楽な時間と捉える生徒が多く、反発は起こらない。いわば50:50だ。雇用が獲得され、生徒はのんびりと過ごすことができるのだ。校則違反の生徒になにかしらの罰則があるから悠長なことは言えないのではって?確かにそうだ。実際違反者は生徒の半数はいる。つまるところ、違反者が多くて取締りが行えないのだ。自己申告方式として形骸化したシステムがこの黒髪の校則だ。異動してきた教員も見分けつかないから適当に報告すればよいとの認識だ。ここでは雇用を優先し、校則の遵守は二の次だ。なぜその利権を守っているのかについては詳らかになっていない。一説によると理容師法と美容師法にあぶれた国家資格者の集まりだとか。更に技能実習として機能していて日本人は居ないとか、あることないことが囁かれている。
次の校則は着用物は黒に近い色をしていることが前提だ。これは校則であるが、公的購入物でなくてもよい。たとえばバッグやノート、ヘアピンから体育着、ネクタイまでもが黒に近い色をしていることだ。これに関しては歴代校長も首を傾げている校則だそうだ。しかし初代校長の親族が立て続けに亡くなったことを鑑みて喪に服す期間が異常に長かったことから由来とされているそうだ。ぶっちゃけ現代的には廃止してよいのだろうが、黒好きな人が集まる学校としてアピールポイントになっているのがネックだ。強制感というよりも好みの問題として認識されている。校則は緩和されており、グレーでも良いとされているので校則に対して批判はないのが実情だ。
ブラック校則といえないのは世間の関心の高い広義のブラック校則ではないからだ。ここではダーク校則と呼称されている所以だ。
ダーク校則は世間の耳目を惹くが入学に際して訴訟が行われたことはない。大抵の判例はブラック校則を反発した生徒が訴えを起こしているが、ダーク校則は甘受しているという傾向か。取材はこの程度だが、校則を問題視する時代は終焉を迎えており、教員養成の観点では話題として一応あるという程度になっている。これからは校則で自主性を育むというらしい。採用されれば就活にも使えるそうだ。校則を正すだけではなく、提案する側になってはいかがだろうか。
ダーク校則 一筆書き推敲無し太郎 @botw_totk
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