第2話 花もぐらの子トト 山頂にて 星空の魔法
〜花もぐらの子トト 山頂にて 星空の魔法〜
リフトを降りたトトとお母さんは、山頂の広場に足を踏み入れました。
そこには、先ほどよりもっと青紫のリンドウが咲き乱れ、まるで夜空をそのまま持ってきたかのようです。
〜〜
トトの目の前で、リンドウの花がふわりと光を帯びました。
昼の光と夜の星が溶け合った魔法の空の下、青紫の花々はまるで小さな星たちのように輝きます。
すると、ひらひらと小さな影が舞い降りてきました。
それはリンドウの星座の精霊。
透き通る羽を持ち、青紫の光をまとっています。
「こんにちは、トト」
精霊は言葉ではなく、トトの心に直接語りかけました。
「この山のリンドウは、昼の光と夜の星をつなぐ魔法の花なんだ」
精霊が指先で花をなぞると、リンドウたちは次々に星座の形に瞬きました。
おとめ座、オリオン座、そして小さなウサギやリスの形――すべてが昼と夜の光に溶け込み、踊るように輝きます。
トトは息をのんで、花々の間を歩きました。
一歩踏み出すごとに、リンドウの星たちがゆらりと揺れ、光がトトの胸の中に小さな星となって宿ります。
「この光…ぼくにしか見えないの?」トトがつぶやくと、
精霊はふわりとトトの手に止まり、輝きをそっと渡しました。
その瞬間、風がざわめき、花も光も音も――すべてが一体となり、山頂全体が魔法の夜空に変わったのです。
チェロやバイオリン、虫たちの音楽も混ざり合い、光と音が心の中まで届きます。
トトの胸の小さな星は、昼と夜を結ぶ魔法の光として、あたたかく輝き続けました。
――秋のスキー場の山頂は、昼と夜の境目にしか現れない、魔法の星座の庭になったのです。
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