第3話 クロサバ戦と深まる疑惑
今日からクロスサーバーでの対戦が始まる。それに伴いチャット欄も新たに解放された。
轟木「クロサバ戦か。一鯖から四鯖までで戦うらしい」
ナイト「まりもさん超える人いますかね」
ノア「ノア怖ーい!! ナイト様守って(>_<)」
轟木「ノアさんもう四位じゃないか。三鯖の主戦力として頑張ってくれ」
ノア「いやーん!!」
……ノアさんはいつの間にか四位になっていた。その気になればすぐにでも私を追い抜かせそうな勢いだけど、気を使っているのかな?
クロサバチャットが動いた。
アポロン神「やほー! 二鯖です、よろしくねー!」
轟木「三鯖です、よろしく」
ランちゃん「四鯖です。みなさん強そう、お手柔らかに」
あれ、一鯖は?
一鯖って一番盛り上がってるんじゃないのかな?
アポロン神「一鯖のトップランカー、大魔神乃蒼ねー! あれはやばいっしょ」
轟木「大魔神……乃蒼?」
アポロン神「そそ。俺、一鯖にもアカウントあるんだけど、大魔神には勝てないと思って二鯖に逃げた笑」
ランちゃん「一鯖は絶対強い人しか居ないですよね〜」
政宗「ども。一鯖代表してとりあえずよろしくお願いします」
噂の大魔神乃蒼はチャット出てこないのかな。
でもいまチャット出てる人は間違いなく上位勢。ステータス見れるかな。
私は各アイコンからステータス画面に切り替えてみた。
うわ、全員私より強い。やば……。
しかも一鯖の政宗さんは多分二位とか。轟木さんより強い。これ夜のイベントまでにもっと強化しておこうかな。
私はまたステータス画面をポチポチして、ついでに課金もしてみた。
そういえばノアさん静かだな。
ナイト『ノアさん、夜のイベント出れそう?』
ノア『ああ、でる』
ナイト『そっか、なら良かった。初イベだから頑張ろ』
ノア『ナイト様ぁ! ノアの事守ってね♡♡』
……ん?
"ああ、でる" 。ノアさんらしくないセリフ。やっぱネカマかぁ。
まあいいや、夜のイベント楽しみ。
そして夜。初のクロスサーバー戦の時間。
陣地戦のような感じのイベントだった。思った通り一鯖が圧倒的に強い。私も轟木さんも強化してるけど、各トップ勢にボコボコにされる。
まりもさんだけは連勝を重ねていた。
轟木「いや、流石まりもさんだな。でも大魔神乃蒼がまだ……」
ナイト「うわ、こっちに居ます!」
轟木「大魔神は避けて四鯖狙おう」
大魔神乃蒼が私の近くを通った。攻撃されるかと思ったけど、スルーして二鯖に突進して行った。
結果は一鯖が圧倒的で、私たちはボロ負けだった。
なんかノアさん居なくなかった?
轟木「ノアさんログインしてるよな?イベント出てたか?」
ナイト「居るはずなんですけどね?」
ノア「やーん! ノア、リアル忙しくて放置してた! ごめんなさい(>_<)」
轟木「居た。まあ居てくれるだけでオートで敵倒してくれるからいいんだけど」
クロスサーバーチャットがまた動いた。
アポロン神「お疲れ様でしたー」
ランちゃん「お疲れ様です!」
まりも「お疲れ様でした^^」
政宗「対ありでした」
アポロン神「まりもさんじゃん。このゲームもやってるんだ」
まりも「ども^^」
アポロン神「後さ、三鯖にノアって居るよね?」
轟木「うちのギルドの子です」
アポロン神「あれ大魔神乃蒼のサブ垢でしょ笑」
ノア「え? ノアはノアだよ。ナイト様大好きなんだよ(*ノωノ)キャ」
アポロン神「いやいや……。大魔神乃蒼と育て方のクセ同じだし笑」
ノア「知らなーい! ナイト様ぁ。あの人怖い(>_<)」
まりも「僕も少し、そうなのかなって思ってるんですよ^^」
ランちゃん「えー! 大魔神乃蒼さんは女の子なんですか?」
アポロン神「大魔神は男だよ。他のゲームでも無双してる笑」
轟木「そういう話は個人チャットで。ここでとやかく言う事じゃない」
アポロン神「はいはい、失礼しました」
……大魔神乃蒼は男。他ゲームでも無双。これはいよいよオッサン……。
ノア『ナイト様ぁ!! あんな人の言う事信じないでくださいね(>_<)』
ダメ押しの個人チャット。もう確定じゃん!
ナイト『別に気にしてないよ』
ノア『ノアは〜! ナイト様の姫でいたいの♡♡』
ナイト『うん、分かった』
うう、妙な感じだ。さっきのイベントで大魔神乃蒼が私をスルーしたのも、ノアさんが中身なら何となく分かる気がする。
でも、どんな富豪だよ! 一鯖のトップでかつ三鯖でも四位って。
まりもさんも有名そうだし。ノアさんがガチャで張り合ってたのもそのせいなのかな?
ああ、私とんでもない人たちに囲まれてるかも。
マイナーなゲームなのにああいうバケモノたちが居るんだよね。
こっちは課金も必死なのにバケモノたちは息を吸うように課金だもん。もー!
私はため息をつきながらも、引き下がれずに今日もガチャを回し、毎日課金の追加入手アイテムを手にした。
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