第4話 なに今の音? 聞き逃さなかったよ



今日もゲームをログインする。

楽しむと言うよりルーティンになっていた。

ギルチャが動いていた。


轟木「で、一から四鯖までのdiscordグループ作ったんだよ」


轟木「参加したい人、俺まで個チャして。全然強制じゃないからね」


ノア「ノア参加するー⸜(*ˊᗜˋ*)⸝」


あーdiscordか。まあチャットだけなら出来るから私も参加しようかな。ノアさんも参加するんだ?


ナイト「俺も参加します! 轟木さんよろしく」


轟木「お、ナイト君! 招待コード送っとくから」


ナイト「ありがとうございます」


ノア「ナイト様も♡ ノア、ドキドキしちゃう♡」


いや、こっちのほうが色んな意味でドキドキするわ!

大魔神乃蒼としても参加するのかな?

気になる……!


そしてとりあえずステータス画面でポチポチと戦力を上げていく。少し工夫すると驚く程戦力上がることがあるから、色々試してみる。

バッグの中のアイテムも使えるものがないかチェック。


……こんなところかな。かなり強くなった気がする。

轟木さんや、まりもさんはどこまで強くなったんだろう? ちょっと見てみよう。

ランキングで二人の戦力を見てみたら。


え、私四位になってる。三位にノアさんが入っていた。

三鯖でもトップ狙ってるの!?

今月これ以上、課金できない。諦めよう。


それよりdiscordが気になる! まさか通話したりするのかな?

またギルチャが動いた。


轟木「今日のクロサバ戦、通話で指示だすから聞ける人聞いてな」


ノア「きゃ! 轟木さん遂に本領発揮ヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪」


ナイト「聞き専ですが、了解です!」


轟木さんは通話出来る人なんだ。そういえば、まりもさんはどうなんだろう。

クロサバ戦だから、まりもさんたちも通話入るよね。


招待コードを貰い、discordを開いてみるとこのゲームのサーバーがサーバー立ち上がっていた。

参加者はそんなに多くないけど、轟木さん、ノアさん、私、同じギルドの数人、別ギルドの数人、八人ぐらい居た。

とりあえず挨拶だけしておこう。


────


そして夜のクロサバ戦の時間。

ギリギリ家に帰ってこれたから、ゲームも集中出来る。

スピーカーにしておくと、轟木さんらしき声が聞こえてきた。


轟木【お疲れ様ー! 轟木です。じゃあ今いるメンバーの皆さんよろしく!】


思った通り、落ち着いた声の男性だった。高すぎず低すぎず、聞き取りやすい声だ。

参加者たちはみんな聞き専なのか誰も話さなかったけど、


『よろしくお願いします』


『指示出しお疲れ様です』


チャットがぱらぱらと返ってきていた。

ノアさんも居るかなと思ったけど、discordはオフラインだった。なんだ、居ないのか……。

ゲームはオンラインだけど、やっぱり一鯖に居るんだろうなぁ。


クロサバ戦が始まった。今回も私たち三鯖は四鯖の領地狙いらしい。

一鯖と二鯖がぶつかり合っている。

漁夫もありなんだろうけど、いや、反撃されて終わるだけだよね。黙って轟木さんの指示通り動いた。


轟木『四鯖の真ん中のボス倒したら二手に別れて左右のボス行こう。多分四鯖は防衛に徹するから、自鯖の領地はたまに俺が様子見る』


轟木さんがマップを巡回しながら臨機応変に対応していく。私は力に任せてボス撃破に集中した。

ノアさんは相変わらずオートで向かってくる相手をなぎ倒していた。


そして遅れて、まりもさんも領地戦に参加した。この人が居ればもう余裕で四鯖には勝てる。


サーバーチャットが動いた。


まりも「遅れました^^」


あれ、まりもさんはdiscordには参加しないんだ。


ナイト「まりもさん、お疲れ様です」


轟木さんは通話で忙しいだろうから代わりに返事をしてみた。


まりも「こんばんは、ナイトさん^^」


まりも「ノアさん、居ないのかな?^^」


ナイト「ログインしてますよ。放置してるだけだと思います」


まりも「一鯖で大活躍してるのかな^^」


ちょっと棘のある言い方だけど、あの会話聞いたらそうなるよね。


ノア「まりもさん〜! ノアちゃんと居ますよ(´・ω・`)」


ノアさんがサーバーチャットに書き込んだ。


まりも「やあ、ノアさん^^」


ノア「ノア、この時間忙しいの(>_<)」


まりも「無理しないでくださいね^^」


二人ともオートで敵をなぎ倒しながらチャットしてる。

私はボスを全部倒し終わって、時間まで自鯖の防衛に回った。


四鯖の領地を取る事に成功した。私たち三鯖の圧勝だった。


ランちゃん(四鯖)「お疲れ様でした! 三鯖つよーい!」


アポロン神(二鯖)「クロサバ戦お疲れ様! やっぱ一鯖に狙われた笑」


轟木「皆さんクロサバ戦お疲れ様でした」


政宗(一鯖)「お疲れ様でした」


今日のクロサバ戦も、いつも居るメンバーが目立っていた。私は見掛けなかったけど、轟木さんによると、一鯖の大魔神乃蒼もちゃんと参加していたらしい。


轟木【皆さんクロサバ戦お疲れ様! 四鯖は楽勝だった。みんなのお陰です】


相変わらず、discordの通話は轟木さんだけが喋っていた。私はネナベプレイだから通話はちょっとなぁ。

でも誰も反応しないのもちょっと……。

そう思っていると、ガタガタと大きな音がスピーカーから聞こえてきた。


プシュッと何か缶を開けたような音だった。

轟木さんかな?


???【あー今回もゴニョニョ……】


轟木【お、誰? 誰か通話入ってる?】


あれ、今の音は轟木さんじゃないの?


──プツン


あ、切れた。聞いた感じ、中年の男性の声だったような……。


轟木【なんだなんだ。誰か間違えて通話入ったのか笑】


轟木さんは一人で笑っていた。

絶対さっきの缶ビール開けた音だ。

轟木さん以外にも聞き専の人は居たけど、いつの間にかノアさんも参加してる事になってるんだよね。

怪しいー! ノアさん!!

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シュレディンガーの姫 夜霧ミコト @Anju-001

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