第2話 底なしのプレイヤー オッサン姫含む
私、ナイトは自分のゲーム内伴侶がオッサンなのではないかと少々の疑問を持ちながら、今日もログインした。
ま、まあよくあること。私だって性別偽ってる訳だし。多分誰にもバレて無さそう。
別に中身の性別なんか気にしなくていい。だってこれはゲームなんだから。
そう自分に言い聞かせ、今日もデイリークエストをこなす。
やっぱ戦力高いとクエストもイベントもすぐ終わるし敵を殲滅できる爽快感が段違い。
ただ、私の上に二人の猛者が立ちはだかっている。
二位の轟木さん。この人は私のギルドのギルマスで、常識人だ。私よりも明らかに課金している。お給料全部ソシャゲに突っ込むタイプかな?
この轟木さんは、私が無理をすれば抜くことは出来る。頑張れば二位に食い込むことは出来そうだけど……すぐまた追い抜かされるだろうし、ギルマスの顔を潰したくないので止めておこう。
怖いのは一位の、まりもさん。
この人は別ギルドにいるけれど、戦力が桁違い。二位の轟木さんが頑張っても勝てない。もちろん私も。
だから、まりもさんが居るギルドが一番強い。二位と三位が同ギルドなのに追い付けない。
早いとこギルド合併とか出来ないかなぁ。
ノア『ナイト様ぁ|´-`)チラッ』
お、伴侶のノアさんからメッセージが来た。
……オッサン疑惑の姫だ。
ナイト『ノアさんお疲れ様』
ノア『ナイト様〜♡ デイリーボス倒すの手伝ってもらえませんか??』
ナイト『おっけー。呼んで』
ノア『ありがとうございます♡♡』
強いと伴侶やフレンドの力になれるのも嬉しい。
ノアさんとチームを組んでデイリーボスへ。
そこに……
"あなたは、まりも に撃破されました"
──え。
まりもさんにやられた。
するとすぐにサーバーチャットが動いた。
まりも「すみません、放置してました。倒してしまった人、申し訳ないです」
ああ、ちゃんと謝れる人なんだ。なら仕方ない。
ナイト「大丈夫です。こっちもよく見てなくて。気をつけます」
まりも「敵意とかないです。仲良くしましょう^^」
……え、なんか怖い。
ノア『ナイト様〜! ノアも倒されちゃった(>_<)』
ナイト『まりもさん、謝ってくれたし。大人しく他のボス行こう』
とりあえず、まりもさんが居ない所のボスを倒した。
戦力一位でボス放置は怖い。間違ってボス被ったら即やられる。
このゲーム、平和モードとかないのかな?
よく説明を読むと、このゲームはボスやイベントは平和モードが無いらしい。
それ不親切だな。弱い人がボス倒しにくい。まあ強い人がどんどんレベル高いボスの所に移ってくれればいいんだけど。
私も気を付けないとうっかりプレイヤーキルしてしまうかも。
ボス放置は危険、と。
ノア『ノア悔しい〜!! あの人強いからやられちゃう』
ナイト『まりもさんは異次元の強さだから、そっとしておこうよ』
ノア『むう( ・᷄ὢ・᷅ )』
ノアさん負けず嫌いなのかな。そういえば順位も着々と上げてきてる。もう八位か。
画面上にテロップが流れる。
─"まりも"がお得ガチャでスペシャルアイテムをゲット!
─"まりも"がリリース記念ガチャで激レアアイテムをゲット!
─"まりも"が特別ルーレットで大量のダイヤをゲット!
うわうわ。色んなガチャ回してる。私も回してるけど特賞とか当たらないのに。
まりもさん何者なんだろう……。
その時。
─"ノア"がリリース記念ガチャで激レアアイテムをゲット!
あ、ノアさん。やっぱ回してるんだ。
ノア『やった〜!!! ナイト様見て〜♡♡』
ノアさんのキャラ画面を見ると、激レア武器を装備していた。ゲットすればかなり戦力が上がるアイテムだ。
ナイト『ノアさんおめでとう。俺は回しても全然出ないよ』
ノア『思い切って百連したら当たったの♡♡』
え、百連!?
このガチャはチケットがなくてダイヤでしか回せない。それを百連!
昨日、超豪華結婚式プランも購入してたのに……。
ノア『えへへ! ノア強くなっちゃう(*ノωノ)キャ』
……やっぱこの人も底が見えなくて怖いな。
一気に五位まで上がって来た。
というか他の人、居る? 息してる?
ランキングを見ても、四位の人が頑張っているぐらいで順位にほとんど変動がない。
ここ三鯖だよ? まさかここですでに過疎!?
何だかこのゲームは生き残らないような気がしてきた。
クロスサーバー戦が怖い……。
まあうちには、まりもさんがいるからそうそう負けたりしないだろうけど。
私も三鯖の上位勢として力を奮わないと。
また夜中までステータス画面とにらめっこして夜は更けていく。
─"ノア"がピックアップガチャで幻のアイテムをゲット!
……幻のアイテム?
ノア『キター!!! ナイト様、ノアやったよ!!』
その時、サーバーチャットが動いた。
まりも「ノアさん、おめでとうございます^^」
まりも「僕、まだそれ当たってないんですよ。羨ましいです^^」
ノア「やったー!!! ノア、まりもさんよりつよくなっちゃうかも♡」
おお……ノアさんどれだけ課金してるの?
後、まりもさんの語尾のニコッが何となく怖い。
──私は自分の姫に戦力を抜かされないようにそっとチャージ画面を開いた。
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