第46話 門野、目を覚ます

 瞼が開いた。そうしようという意識があったわけではない。門野は白い天井を見た。

「起きた?」

 覗き込む顔は、長木だった。見れば病衣のままである。

「ああ、てかよ、病衣のまま病人見に来てどうすんだよ」

「私も病人扱いされているからよ」

「そうかい」

 ――秋津はどうした?

 と聞こうとした矢先、個室のドアが開いた。弾正だった。

「長木さん、秋津さんが目を覚ましました……てあれ? 門野君も目覚めましたか」

「弾正さん、それ、俺が目覚めない方がいいって聞こえますけど」

「そんな意図はないよ。誤解をさせたのなら謝る」

「大丈夫です。冗談ですから」

 身を重そうにして起き上げる。

「秋津が目を覚ましたって」

「ええ、今しがた」

「じゃ、私が見てくるから、門野は寝て……」

「俺も行く」

「何言ってんのよ。そんな体動かすのしんどそうなのに」

「大丈夫ですよ。あれを使いましょう」

 弾正が指差したのは車いすだった。

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