第三章 長木アンジュ
第10話 自室で
長木アンジュは自室に着くなり、携帯電話を取り出した。カーテンは閉めたまま、思い出したかのようにエアコンのスイッチを入れた。暑さと言うものを忘れているようだった。メールの新規作成を開いたところで指の動きが止まった。
「何て聞こうかしら」
そのつぶやきが吐露であった。メールを打ったところで内容をどう書こうか、明らかに長文になる。支離滅裂にならないだろうか。いやその前に
「メールにしていいものかしら」
長木は携帯を机上のフォルダーに置く。定位置であった。着替え始める。手首、足首にあったパワーストーンたちはカラーボックスの上に置かれた容器の上に置かれた。木製の容器にはクッションが敷いてあり、その上に水晶のクラスターがあった。その水晶の上に並べるように置いた。パワーストーンの浄化、これは毎日行われなければならない。そうしないと、石が働かない。また体調不良になってしまう。置いた容器の隣に同じような、しかしそれよりも小さい容器があった。そこにもやはりクッションが敷かれてあり、水晶があり、そしてブレスレットがあった。それを左手首にした。一つ。家の中では、その一つだけで良かった。長木は今点けた電灯に光る水晶に、まるで関心をはらわずに着替えを終えた。
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