八百屋さんのバイトの日記
一筆書き推敲無し太郎
第1話
私は八百屋さんのバイトです。
今日も高いねぇと言われるけど情勢からみてしょうがないよ、お客さん。
キャベツ高いわねぇ、適正価格です。
ブロッコリーの鮮度低いわねぇ、ごめんなさい。
人参小さいわねぇ、確かに私もそう思います。
ナスが安いのねぇ、はい 今日のお勧めですから。
お客さんは結構思ったことをそのまま言ってるんだなって働いてからわかった。目の前にいるのはただのバイトの私だから気兼ねなく言うのかなぁ。店長と今日も野菜高いって言われましたよってあとで話すんだけどな。消費者の意見は聞かないといけないからさ。でも今日は気になる吐露を聞いたから日記に残そうかなって思った。
うちはピーマンは袋詰めで売ってるんだけど5個入って158円。安くて美味しい、子供は嫌いかもしれないけど。煮るも焼くも炒めるも漬物でも美味しい。万能じゃないか。売れ行きは好調。
でもお客さんが叫んだ。
「ピーマンに毛虫が入ってるー!」
絶叫に近くて私の鼓膜が大きく振動した。即座に謝るしかないんだけど。私はこの事象を不可解に感じた。だって私はピーマンを作った人間じゃないし、ピーマンを買ってから虫に気づいたお客さんに謝罪するわけでもなく。仕入れの段階で気づけたからまだセーフなわけで。
じゃあ毛虫の当事者性を考えてみてよ。
窒息するまであんなに美味しいピーマンを食べられたんだから。幸せな死に様じゃない?虫が食い尽くほど美味しいピーマンってのが証明されたんだから。こんな死に方なら私でも納得出来る。好きな物にしがみついて死ぬなんてラッキーでしょ。
八百屋さんのバイトの日記 一筆書き推敲無し太郎 @botw_totk
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