絡み合う根
武田歩
絡み合う根
ビニールの傘が詰まった傘立ての皿は濁った水を湛える
落ち葉の山にさらに落ち葉の降るように静かに記憶を貯めゆく眠り
粉雪が風に流れる庭園にかつて蹴鞠が開かれていた
ストーブの前には人が座り込む空間がある 柊の花
水引が巻きついたまま罅割れる玄関に置かれた鏡餅
早朝の駅の便座は温かく今日にするべきこと考える
砂浜に上がった波が砂粒を掴まず海に攫われていく
黄金のだし巻き箸で切り分ける身体に酔いが回りはじめる
春の夜のタクシーの灯が遠ざかり必ず乗っている運転手
絡み合う豆苗の根をほぐしつつ思う明日の大雨のこと
絡み合う根 武田歩 @takedashixray
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