第25話 Why try so hard?

「守れなかったな……」

龍希とヤミはその場に立ちつくしていた

「うん……私たちが来た意味なんて、無かったね」

ヤミは涙が溢れ出そうだった。

地天界では1ヶ月だが、現実世界では31時間。1日以上が経っていた

龍希とヤミは、地上で起きている状況をもちろんの事知らない、

「ルージュ、三根、ウォルウォート、国王、国民全員、死んだ。守るどころか見殺しにするかのように国を崩壊される状況を見ているだけだった」

そう

ケツァルコアトルの企みは無かった、ただ国を滅ぼしたい、暇つぶし程度にしか思わない。それ程の実力者ということ

数で押し切っても意味がなかったことが分かった、

「どうして俺たちは、ここにいるんだ?」

龍希は空を見上げる、雨の降る空を。雨水が目に入ろうが気にせずに

「そうだね、私たち。頼られたのに何も出来なくて」


『何のために生きているんだ?』


ここはゲームの世界ではない、たとえ現実世界ではなくとも、地天界だろうがこの時間軸は並行している

死んだ人は帰ってこない、地天界だろうが生活していたのは人間。

ルージュは俺たちを頼ってくれた、国を救ってくれると思ったのだろう。

その期待に応えることが出来なかった


───現実世界


『田森龍希!ヤミ!重要指名手配犯を見つけ次第通報を!』

張り紙がそこら中に貼られている、もちろんのこと2人は有名人、顔もバレている


「三空特等!龍希隊長は未だに足取りを掴めません……」

1人の二等兵が情報を伝える

「ありがとう……やはりか。」

三空は顔をしたに下ろす、目の前にあるテレビの電源をつけニュース番組を選択し情報を頭に入れる

『LIVE中継 現在の東京駅周辺』


「現在東京駅周辺は地獄絵図と化しています……一通りの救助は完了したと、自衛隊からの報告を受けました」

「……!?なにか……光が目の前に……視界が……」

「!?あれは!田森龍希とヤミと思われる人物が姿を現しました!!!」

「服装は……白のロングコートに黒色のネクタイを締めており……なにか刀のような武器が……!?」


ノイズと共に中継が途切れた、そのノイズには叫び声が乗っていた


「龍希隊長!?」「龍希さん!?」「龍希!?」


三空特等、一等兵二等兵は驚きの声を隠せない


「SNSでもすごいですよ……居場所は割れているはずなのに目撃情報は一切ない……妙ですね」

三空は察した、1つの考察だったが、普段の田森なら圧倒的におかしな行動、しないであろう行動だが、今は可能性が高い

「恐らく、龍希は目撃された人間を片っ端から殺している。向かう先は、恐らくここ」

「それじゃあ、僕たち本局が匿えば、多少は……!」

「あぁ……今すぐに捜索にいけ!戦闘はするな!」


了解!!


────新橋駅


線路の真ん中を歩きながらゆっくりと品川方面へと向かう

「ヤミ……あいつらは味方だと思うか」

「見て考えようか、希望だけは持とう」


ファァァーン


前から新橋止まりの臨時列車が突っ込んでくる、もちろんのことこれは警察、自衛隊の作戦。

専用の装甲を付け時速は120kmを超える


「ヤミ、俺に乗れ」「了解」

ヤミは龍希の背中に乗ると、龍希は刀を握る。その刀はテスカトリポカで入手した専門用

「この刀は特殊なんだ、俺が強く握ると」

刀身が鋭く伸びる、巨大化し枝分かれする、強くその刀を振り下げると

「よし、行くか」

突っ込んできた鉄道は中心に真っ直ぐ綺麗に切れる。その光景はフィクションかのように、ケーキを入刀する新郎新婦のように。


「なっ!?おかしいぞ、なんだあの武器は!?」

ドローンを通して中継を繋いでいた自衛隊の隊長『薔薇笠 鳳凰』は机を強く叩き額に血管を浮かび上がらせ怒りを露わにする

「薔薇笠隊長!予想が出ました!恐らく、品川区本局。TYS本拠点だと思われます!」


────TYS本局


三空は正門に腕組をした状態で立ち尽くす

「来なよ、田森龍希。」

足音近づく、その姿は血にまみれていた悪魔だった

「龍希。ヤミ。目的は」

「お前らが味方か敵か見定める。その殺気、お前らを今すぐ殺そうと考えている」

三空はピクっと眉をうごかす

(え?そんなふうに見られてんの、嘘でしょ味方なんだけど……)

心の声は聞こえるはずがない

「殺気だなんてそんな、私たちは味方です。」

「幻想を抱くのはやめたんだ、そこを退け殺すぞ」

三空はゾワッと鳥肌が立つ、久々に感じた恐怖心と言う感情が呼び起こされたような感覚だった。

「退かない、私たちは味方だ。信じてもらうまで足を動かす気は無い」

龍希は残念そうな顔を見せる

「そうか……分かった」

音もなく右腕が下に振られた、すると視界がゴロッと動く、足が地面に付いている感覚がない

「!?」

足首にかけてザックリと切られていた、血が皿のように吹き出しその場に倒れる

「ぐあっ!?はぁ……!?」

「じゃあな三空、」

三空は涙を流しながら乞う、手を伸ばして助けを求める

「助け…………て、、龍希…………」

龍希は無言で歩き出す、すると後ろを歩くヤミだけが振り返り言葉を投げかける


「お前の信頼なんて、最初からいらなかった。消えろ。」


桜ヶ丘三空は、静かに出血多量で意識を無くしていく


桜ヶ丘 三空 死亡。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Silver Variation 物狂響響 @Tooooooooki0506

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画