第48話 気付いちゃったかもしれないんだがぁ?
㊽
ふぅ、入学式はこれで終わりかぁ。
これでこの街に来た目的は達成だねぇ。あとは急に生えてきた用事だけ。
貴族たちに怪しい様子は見られなかったし、現状だとやっぱり、学長が怪しいくらいかなぁ。
もちろん式中だけの様子じゃ、分からない事の方が多いんだけど。
今は、太陽の位置的に昼前かな?
リリアと合流したらお昼ご飯だねぇ。
保護者は、学園内の校門前で待ってる感じかぁ。僕もそこまで移動しようかねぇ。
フィアたちは気付いて来てくれるでしょう。
なんて考えてたら、来たねぇ。よほど暇だったのかねぇ?
「にゃぁ?」
「フィア、コペン、お待たせ。うん、終わったよ」
「んにゃぁ……」
ああ、なるほど。暇だったんじゃなくて、式に出席してない学生たちに絡まれて大変だったと。
そういえば、いつかも服屋の前で撫でくりまわされてたねぇ。
「ところで、何か面白いものは見つかったかい?」
「にゃ」
「んにゃぁ」
何もなし、と。
となると二匹の探知範囲外かぁ。学園じゃない可能性が高まってきたねぇ。
そうすると学長にかけられた呪いも無関係の可能性が高まるねぇ。でも、うーん、関係ある気がするんだよねぇ……。
「先生!」
「ああ、リリア。おかえり。お疲れ様」
「ありがとうございます!」
入学式を終えただけなのに、少し大人になって見えるのはなんでかねぇ?
師匠バカなだけな気がしないでもないけど、考えたら負けかなぁ。
「今日の夜からは寮で暮すんだったね」
「そうですね。先生はすぐに帰られますか?」
「いや、ちょっと用事があるから、もう少しいるよ。でも、森の方の家で寝泊まりするつもりだねぇ」
「それがいいですね。フィアもコペン君も、宿じゃ窮屈そうでしたし」
そうなんだよねぇ。
あと僕も、もう少し落ち着いた環境でのんびりしたい。
でも、そうだねぇ。夜には寮に戻るなら、お昼は豪勢にいきたいねぇ。
フィアたち用に色々仕込みは済ませてあるし、その辺りを放出しちゃおうか。
「よし、リリア、お昼はあっちの家で食べよう。入学祝いだよ」
「先生のご飯、楽しみです!」
「にゃぁっ!」
「んにゃ!」
君たち、リリアのお祝いだからね?
分かってるよね?
「そういえば先生、この学園って特殊な技術で付与魔法を使わずに色んな結界を発動させてるらしいんですけど、それってあの技術ですよね?」
「うん、そうだねぇ」
建築物やらの構造を使って魔力回路を作る技術だけど、その存在じたいは説明するんだねぇ?
ああ、そうか、動力源の魔石を集めてきてもらわないといけないからかぁ。
する意味の分からないことって皆サボりがちになっちゃうからねぇ。
「そのために魔石をとってくることで一部の単位を取得できるって話をされて……。私、一人でも傭兵の仕事できますかね?」
「うーん、実力で言えば問題なくできると思うよ? これからジョブにも就くだろうから、なおさらね。でも、できれば友達を作って、一緒に行った方がいいかなぁ」
単純な安全面でも、将来助け合えるかもって意味でも。
「チームワークはあまり教えられていないし、僕としてはその辺りもしっかり学んでほしいねぇ」
「そう、ですね。頑張ります!」
まぁ、周りが高位貴族の子息ばかりで緊張してそうだったしねぇ。
授業が始まったらそうでない、それこそ同じような平民の子とも関わるようになるだろうから、安心しても良いとは思うけど。
しかし、動力源の確保はどこの国も苦労してそうだねぇ。日本もそこそこ輸入に頼ってた気がするし。僕もその辺はあまり詳しくないけど……。
「ふむ、動力かぁ……」
「先生?」
「ちょっと宿に忘れ物をしたから、フィアたちと先に行っててくれるかい?」
「分かりました」
教授からのお土産が残ってる内に確認しないといけないからねぇ、これは。
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