真定 その2
賈復を留めた一行は常山、更に太守の居る元氏に入れば、劉秀、太守の
その劉揚、王莽によって王から侯に降ろされ、更に庶民に落とされて十四年、流儀作法を知る者も身辺に残っており、それゆえ王侯の流儀で自ら復位し、皇帝劉玄がそれを認めることになり、最早その形式のみが問題であった。しかし、劉秀・劉揚、どちらの膝を屈するかは、実は力関係である。そのため真定王の配下は大司馬である劉秀に膝を折らせたがった。それが分かると、劉秀一行で、いや真定王を王として認めるのは皇帝であり、それを代行するわけだから大司馬は皇帝代理の立場に立つべきだという意見が強く出た。劉秀は耿純を邯鄲に置いてきたことを
広間に通された劉秀らは、真定王劉揚の前に膝を屈する。
真定王劉揚は大司馬劉秀に声を掛けて曰く「劉大司馬、遠路はるばる
劉秀、打ち合わせ通りと思うが、その打ち合わせ通り返して曰く「帝の命により、
袋から取り出したる印璽を掲げる。
劉揚、曰く「
劉揚、曰く、「
劉秀、打ち合わせには無いことだと思いながら、顔を伏せて待つ。
劉揚、ぽつりと小声で曰く「王莽に奪われた印璽はもっと立派であったぞ」、そして声を大きくして曰く「まさに真定王の印璽なり、確かに拝領いたした」と印璽を脇の者に預けると、最後に曰く「下がり
劉秀、それを受けて下がる。
当てがわれた
鄧禹答えて曰く「小器で御座いますな。
劉秀曰く「その通り、我を引き立て役と為した。だが、帝に逆らうわけではない」
鄧禹曰く「今はそうですが、将来は分かりませぬ。王は帝を知らぬゆえ」
劉秀曰く「禹よ、穏やかならず」
鄧禹にこりと笑うと曰く「王、知らぬは帝のみならず、世も知らず。それゆえ王を確実な味方に引き留めるには、世の噂を周囲に埋める必要があります」
劉秀、鄧禹の
鄧禹答えて曰く「今、明公は東西に長い真定国の西部に居られます。まっすぐ北に行くのではなく東にゆっくりと抜けましょう。真定国を十分に
劉秀言い返して曰く「まだ分からぬ。我が労いながら通れば、真定王は何故我に味方する」
鄧禹答えて曰く「小器な人物、実像を見てその
劉秀曰く「
鄧禹曰く「まさに」
劉秀一行は、真定を出るとゆっくり
その一方、鄧禹は劉秀の好みでないと分かっているので劉秀には断らず、宿舎・広場・市でわざと
百万と号する軍勢を数千で破ったのは事実である。実質、甲冑で身を固めた兵が四十二万で、天候を味方にした奇襲策で勝ったと
そうして、虚像を為しながら、一行は真定国を抜け、
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