真定(しんてい)
真定 その1
いつもの如く男は、広げた
しばらく、上を見たり机を
さてと、男は書を開いて、また別の書を開いて、口に出して
それを知った劉秀は先ず
鄧禹問うて曰く「何人なり」
劉秀答えて曰く「
鄧禹笑いて曰く「確かに珍しいかな」
そして劉秀は鄧禹に曰く「我ら、長安の昔を懐かしむも良いが、鄧将軍には、仲先の同道人に会って貰えぬか」
鄧禹僅かに眉を
劉秀、
朱祐答えて曰く「そのため
劉秀は黙って頷く。
そこで朱祐は嘆息して曰く「我は伯升殿を敬慕していた。だから、あの最期に義憤し」と劉秀に目を遣り、続けて曰く「劉公が我を遠ざけたのも不審に思い、一人
劉秀は何も言わぬまま話を続けるように
朱祐曰く「我、
劉秀答えて曰く「
朱祐それに対して黙って叩頭し、受諾の意思を伝えた。もはや朱祐は劉秀を咎めなかった。劉秀も自らを弁ずることなく朱祐を責めることもなかった。
他方、体の良い人払い役なりしかと
鄧禹曰く「我は鄧仲華、
その男、答えて曰く「
鄧禹が読み終えても拝伏したままであれば、推薦状の通りの人物なりと、鄧禹、劉嘉の書を束ねれば、我について参られよと、劉秀の部屋に至り、陳俊を劉秀に繋ぐ。
劉嘉の推薦状を読みたる劉秀、陳俊に言いて曰く「君を左右にと欲す。小県何ぞ貪るに足ろうや」
陳俊、それを受けて県令の印綬を解いて曰く「それでは明公にお託し申します」
劉秀、すなわち陳俊を
次に鄧禹が会った男、背はそんなに高くはないが、実にがっしりとした
鄧禹曰く「我は鄧仲華、
その男、答えて曰く「
鄧禹、強面は顔だけではないなと思い、言葉を返して曰く「しかし」、にこりと笑って続ける「太公望は
しかし、その男も黙っておらずに、直に返して曰く「若き者、老いることは可なれど、老いた者、再び若やぐことは不可なり」
鄧禹、下手に反論するは下策なりと思えば、切り返して曰く「なれば、我も老いれば、卿の如く賢くなりたいもので御座います。ついぞ卿の名を聞き忘れ申した」
ここでこの男、自ら名乗るを忘れていたことに気付いて、曰く「老若に
鄧禹は十も半ばで、
鄧禹、自分は目通しの役であることを思い出し、問いて曰く「卿、何ゆえ劉公の陣営に来られる
賈復答えて曰く「大司馬劉公に、我を使わぬかと尋ねる由故。これは大将軍興徳侯劉孝孫殿の書状なり」
鄧禹、劉嘉の推薦状を拝読する。
この賈復、
その後、皇帝劉玄の政は乱れ、諸将が
劉嘉答えて曰く「卿の言、大なり、我が任に非ざるなり。大司馬劉公は河北にいる。必ず
故に今、賈復、劉秀を
鄧禹、これを先に見せれば良いものをと思いつつ、劉嘉の書を束ねれば、我について参られよと、劉秀の部屋に至り、賈復を待たせて部屋に入れば、即座に賈復、劉秀に
また朱祐らは、冠軍の人、
柏人を出立する際、劉秀、賈復の馬がやつれたるを見れば、
北の
例えば、大司馬の督、
されど賈復、顔色も変えずに返して曰く「共に劉公の吏であれば、何の尊卑か有ろう」と座し続ける。
官属は共々、こうした賈復の不遜な振る舞いに耐えかね、賈復を追い払おうと、
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