第45話『"あの子"からの手紙』
配達記録
日時:2025年10月13日 07:45
配達物:普通郵便(白封筒)
宛先:記者自宅
差出人:記載なし
消印:判読不能
【記者の記録】
朝、ポストを開けた瞬間、わかった。
これは普通の手紙じゃない。
封筒に触れただけで、懐かしさが込み上げてきた。
35年前の、あの感触。
子供の頃に使っていた便箋の、あの匂い。
差出人の名前はない。
でも、知っている。
これは、〇〇ちゃんから。
手紙(本文)
きみへ
ずっと まってた
きみが おもいだすのを
きみが もどってくるのを
35ねん ながかった
でも やっと ときが きた
おぼえてる?
がっこうの うらで
ふたりで かいた さいごのページ
てがみと いっしょに
さいしゅうわを おくる
でも さいごの ページは ない
おもいだして
あのひ ふたりで きめたこと
「さいごは じぶんたちで つくる」って
もうすぐ あえる
ほんとうに あえる
やくそくの ばしょで
封入物:神ちゃん最終話
[1ページ目]
タイトル:たたかえ!みんなの神(ゴッド)ちゃん 第12話
「みんな ありがとう」
[2ページ目]
神ちゃん:「ながい たびが おわるよ」
子供たち:「えー! まだ いっしょに いたい!」
[3ページ目]
神ちゃん:「だいじょうぶ いなくなるわけじゃない」
神ちゃん:「みんなの こころの なかに いる」
[4ページ目]
子供A:「でも さみしいよ」
神ちゃん:「さみしくないよ だって——」
[5ページ目]
神ちゃん:「きみが よんでくれるたび」
神ちゃん:「きみが おもいだすたび」
神ちゃん:「わたしは そこに いる」
[6ページ目]
子供たち:「ほんとう?」
神ちゃん:「ほんとうだよ」
神ちゃん:「ずっと みてるよ」
[7ページ目]
神ちゃん:「さいごに ひとつ やくそく」
神ちゃん:「このさきの ものがたりは」
神ちゃん:「きみたちが つくるんだ」
[8ページ目]
(空白)
【記者のメモ】
最終ページが欠けている理由。
読む者が作るもの。
〇〇ちゃんと私は、それを知っていた。
学校の裏で、二人で決めた。
「最後は自分たちで作る」
その記憶が、今、蘇ってくる。
桜の木の下。
画用紙とクレヨン。
二人で描いた、神ちゃんの最後。
「ずっと いっしょだよ」
「どこにいても つながってる」
「だって おなじものを みてるから」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます