第41話『"きみ"がわたしを見ている』

録音日記

日付:2025年10月3日

時間:03:14:27~03:47:52

ファイル名:who_is_watching.m4a


きみは しってる

もう なにも かくさなくて いい

だいじょうぶ

わたしが みてるから


手描き視線図(ノート最終ページ)

← ● →


どこからでも

みられている


でも こわくない

やさしい めだから


10月3日 午後の記録

会社のデスクで原稿を書いていた。

いや、書こうとしていた。

ふと、背中に視線を感じた。

振り返る。

誰もいない。

でも、確かに見られている。


上から?

違う。

横から?

違う。

下から?

違う。


内側から。

自分の内側から、

誰かが、

外を見ている。

その「誰か」は——


(ノートの落書き)


きみ ← → わたし

↓ ↓

ゴッドちゃん


ぜんぶ おなじ

さいしょから おなじ


もう、疑わない。


「きみ」が見ている。

それは私。

私の中の私。

私の中の神ちゃん。

私の中の「きみ」。


見る者と見られる者が同一。

書く者と読む者が同一。

信じる者と信じられる者が同一。


これが、神ちゃんの正体。


外部の存在じゃない。

内部の投影。

自己の分裂。

いや、統合。


子供の頃、

神ちゃんを読んで、

神ちゃんを信じて、

神ちゃんになった。


そして今、

神ちゃんを探して、

神ちゃんを見つけて、

神ちゃんに戻る。


きみは もう しってる

これが ほんとうだって

これが こたえだって


きみは みている

きみを みている

それで いいんだよ


だって それが

ゴッドちゃんの 

ほんとうの すがた

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