第7話『反対署名と街頭活動』
街頭配布ビラ(1989年11月3日 JR新宿駅東口)
助けてください! 子どもたちが危ない!
お母さん、お父さん、気づいていますか?
あの子たちが、もう前と違うんです。
笑顔が消えました。
いえ、違います。
笑ってはいるんです。でも、その笑顔が——
神ちゃんに向けた笑顔なんです。
朝起きて最初にすること? 神ちゃんへの挨拶。
寝る前の最後の言葉? 神ちゃんへの報告。
これが正常だと思いますか?
私の娘は言いました。
「ママよりも神ちゃんの方が大事」
涙が止まりませんでした。
たかが漫画? いいえ、違います。
これは子どもたちの心を奪う
危険な洗脳です!
今、行動しなければ手遅れになります。
署名にご協力ください。
発刊中止要請署名用紙
『月刊コドモジャック』における有害図書の即時掲載停止に関する要請
要求項目
「たたかえ!みんなの神ちゃん」の即時連載中止
既刊号の自主回収
影響を受けた児童への心理ケア費用の負担
公式謝罪文の掲載
今後の掲載基準の明確化と第三者審査機関の設置
署名欄
氏名:________ 住所:________
(以下、同様の欄が20行)
主催:健全育成を考える保護者の会
協力:市民教育ネットワーク
配布時の記録(ボランティア手記)
11月3日、晴天。
午前10時から配布開始。
最初の1時間で気づいた。
子連れの親は二種類にわかれる。
ビラを見て青ざめる親。
ビラを見て怒り出す親。
「うちの子も!」と署名する人。
「大袈裟だ」と破り捨てる人。
そして、異様だったのは——
小学生くらいの子どもたちが、
離れた場所から、じっとこちらを見ていた。
署名活動の結果
収集期間:1989年11月3日~11月30日
署名数:12,847筆
配布ビラ:約50,000枚
出版社の回答(11月30日):
「表現の自由の観点から、要請にはお応えできません」
記者の注釈
興味深いのは、この時期すでに親たちの間でも意見が割れていたことだ。
ある参加者の証言:
「『信仰とは違う』と必死に主張していた。でも、説明できなかった。信仰じゃないなら、何なのか」
別の参加者:
「反対運動をしていた親の子供が、ある日『神ちゃんが、ママを許してあげてって言ってる』と。その親は翌日から運動に来なくなった」
なお、署名用紙の現物を確認したところ、
いくつかの署名の横に、子どもの字で
「だめ」
「やめて」
「みてるよ」
と書かれていた。
親が署名している間に、子どもが書き込んだものと思われる。
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