第3話『初期アンケート』

資料:編集部保管読者アンケート原本(1989年4月~8月)

整理番号:CJ-1989-Q2

保管場所:コドモジャック出版 第2資料室(現・解体済)


1989年4月号(連載第1回)回収数:312通

通常の感想:

「神ちゃんかわいい!」(東京都・7歳女子)

「つぎもよみたいです」(千葉県・9歳男子)

「ともだちになりたい」(埼玉県・8歳女子)


注目すべき回答:

4月28日受信 横浜市 6歳女子(原文ママ)

「ゴッドちゃんが ゆめにでてきて だいじょうぶっていってくれた ママのびょうき なおるって」


5月2日受信 都内 8歳男子

「神ちゃんと約束した。いい子になるって。守らないと神ちゃんが悲しむ」


5月5日受信 千葉県 年齢不明

「みてる みてる ゴッドちゃん みてる」

※同じ文が便箋4枚に渡って繰り返し記載


1989年5月号(第2回)回収数:518通

回収数が1.5倍に増加。編集部メモ「異例の反響」

5月20日受信 さいたま市 7歳女子

「ゴッドちゃんにみまもられてるきがする がっこうでもおうちでも ずっと」


5月25日受信 東京都 9歳男子

「友達をいじめようとしたら、神ちゃんの顔が浮かんだ。がっかりした顔。だからやめた」


6月1日受信 匿名(筆跡から小学校低学年と推定)

「うそつくと ゴッドちゃんが おこる あたまのなかで こえがする」


1989年6月号(第3回)回収数:724通

編集部の書き込み:「内容に偏り。要確認」

6月15日受信 群馬県 8歳女子

「神ちゃんがいるから、もうなにも怖くない。お父さんが怒っても平気」


6月18日受信 茨城県 10歳男子

「クラスで神ちゃんクラブを作った。みんなで神ちゃんのまねをして遊んでる。『だいじょうぶ』『みてるよ』って言いあってる」


6月22日受信 東京都 7歳女子(原文ママ)

「ゴッドちゃんと まいにち おはなしする こえは きこえないけど きもちが つたわってくる」


6月30日受信 神奈川県 保護者代筆

「娘が毎晩、窓に向かって何か話しています。『神ちゃんとお話してる』と言うのですが、大丈夫でしょうか」

※編集部返信なし


1989年7月号(第4回)回収数:1,103通

7月10日受信 千葉県 9歳男子

「神ちゃんに言われたとおりにしたら、テストで100点とれた。『しんじて』って言われた」


7月14日受信 東京都 8歳女子

「神ちゃんの絵をかいてカベにはった。夜、目が光った。でもこわくなかった。まもってくれてるから」


7月20日受信 複数名連名(小学4年生6名)

「私たちは神ちゃんと約束しました

うそをつかない

ともだちを大切にする

毎日神ちゃんにほうこくする

神ちゃんを信じない子とはあそばない」

※4項目目に編集部による赤線


1989年8月号(第5回)回収数:1,856通

編集部緊急メモ:「異常な増加。内容も要検討」

8月3日受信 埼玉県 年齢不詳(便箋12枚)

全文「ゴッドちゃん」の繰り返し。筆跡が徐々に変化。最後は判読困難。


8月8日受信 東京都 9歳男子

「もう親の言うことはきかない。神ちゃんの言うことだけきく。神ちゃんはまちがえないから」


8月15日受信 茨城県 8歳女子

「神ちゃんが『みんなにもおしえてあげて』って」

※「おしえてあげて」の部分に編集部による二重線


8月18日受信 匿名 集団投稿(推定20~30名)

「わたしたちはゴッドちゃんのこどもです

ゴッドちゃんはいつもみています

ゴッドちゃんはすべてしっています

ゴッドちゃんはゆるしてくれます

でもしんじないひとはだめです」

※同じ文面のハガキが23通。全て異なる筆跡。


8月25日受信 都内 保護者

「息子の様子がおかしいです。『神ちゃん』の名前を出すと急に大人しくなり、出さないと暴れます。これは漫画の影響でしょうか。専門機関に相談すべきでしょうか」


分析メモ(編集部・日付不明)

初期5ヶ月で以下の傾向を確認:

通常の感想→信仰的表現への移行

個人→集団化の兆候

「声が聞こえる」報告の増加

保護者からの懸念表明


特に懸念される表現:

「見守られている」(124件)

「声が聞こえる」(89件)

「約束した」(201件)

「信じない子は仲間じゃない」(67件)

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