第2話『神ちゃんの顔』

調査報告:神ちゃんデザインの変遷

調査者:■■■■

期間:2025年3月16日~20日


■初出(1989年4月号)

ラフ画が編集部に残存。

普通の子供キャラ。目は標準サイズ。

編集メモ「もっとインパクトを」


■第2稿(同年5月号)

目が1.5倍に拡大。

作者メモ「見た夢の顔」

編集メモ「完璧」


■第3話(同年6月号)

デザイン変更なしのはず。

だが、並べると明らかに違う。

違いは説明できない。測定しても同じ。

でも、違う。


■中期(1989年10月号)

読者投稿欄に異変。

「神ちゃんが夢に出てきた」7通

「神ちゃんの顔が変わった」12通

編集部は黙殺。


■問題の号(1990年3月号)

印刷所からクレーム。

「版下と仕上がりが違う」

「勝手に修正されている」

「瞳の中に何かが映っている」


詳細記録

作者の改稿メモ(5月号):

「昨夜、不思議な夢を見ました。子供が窓の外からこちらを見ていて、その目が……この絵の通りです」


印刷工の証言(1989年7月):

「神ちゃんの目が、最初のページと最後のページで違って見えた。でも重ねてみれば同じ。確かに同じ。でも、違うんだ」


読者はがき(1989年11月3日 埼玉県 小学2年女子):

「神ちゃんが、だんだん近くなってる気がします」


1990年3月号印刷時の異常:

3月1日午前3時、印刷所から緊急連絡。


最初の1000部:通常通り

次の1000部:瞳の中の光点が増えている

3000部目:視線の向きが変化

4000部目以降:瞳の奥に「何か」が映り込む


印刷所責任者の記録:

「版に異常なし。でも刷り上がりが違う。最終的に、瞳の中に子供の顔のようなものが浮かんだ。見る角度によって、違う子供に見える」


編集部は即座に印刷中止。該当ページ(P.42-51)を削除。

しかし一部は既に出荷済み。


調査者メモ

神ちゃんの顔は「変化」している。

しかし、描かれたものが変わったのではない。

見る者に応じて変わる仕組みが、最初から組み込まれていたのか。

あるいは——


古書店主の言葉:

「1990年3月号? 在庫はあったはずだが……あれは、売れないんです。売ろうとすると、いや、なんでもありません」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る