第113話 沈黙の歌 ― 世界が、ざわめいた

 昼下がり。

 LIVESTAR公式のYouTubeチャンネルに、一本の動画が投稿された。


【夜宵アリア ― “沈黙の歌”(Teaser Ver.)】


 長さ、わずか1分47秒。

 だが、たったそれだけで――業界の空気が変わった。


SNSトレンド爆発


【トレンド】

#夜宵アリア #沈黙の歌 #LIVESTAR新人 #あの歌声に似てる


リスナーA:新人なのに完成度えぐいんだけど!?

リスナーB:「沈黙の歌」ってタイトル、天才の発想でしょ

リスナーC:待って……この声、Noctiaじゃね?

リスナーD:え、いや……まさか同一人物とかないよな?

リスナーE:似てるだけだろw でも歌い方の癖まで一緒なんだよな……


 コメントの流れが、一気に加速する。

 そして、ひとつの比較動画が投稿された。


ファンによる検証動画


【比較】夜宵アリア vs Noctia ― 呼吸とビブラート一致率98%!?


 ファンが解析ツールで波形を並べ、音域とリズムを重ねていく。

 その一致率は、ほぼ完全。


【コメント欄】

視聴A:え、これもう確定でしょ……

視聴B:Noctia=夜宵アリア説、ここに爆誕

視聴C:沈黙から声へ、ってそういう意味かよ

視聴D:鳥肌立った。物語として完璧すぎる


LIVESTAR内部・ユリウス視点


「……ふふ、気づかれるの早いな」

 ユリウスは動画コメントを眺めながら肩をすくめる。

「けど、あの子の“声”は誰にも止められない。

 隠しても、きっと届く。――世界のどこにいても」


アリア視点


 控室のスマホが震え続ける。

 「Noctia」という名前が、またタイムラインに流れてきた。


(……やっぱり、気づく人はいるよね)


 不思議と、焦りはなかった。

 ただ静かに、胸の奥で小さな炎が灯る。


(“沈黙”で戦って、“声”で生きる。

 これが、私の答えだ)


【ステータスボード:夜宵アリア】


反応速度:MAX(固定)

戦術理解Lv:6

キャラ操作精度:9(維持)

空間認識力:8(維持)

感覚統合:Lv2(維持)

共鳴感覚:Lv2〈感情を音として共振〉


ボーナスポイント:+1(保留)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る