トラック2 一年後、起床、添い寝付き

//SE:ふすま越し、包丁で野菜をトントンと切る音


//ふすま越し、少しくぐもった声で

「ふんふふーん、ふんふふーん。ふんふんふふーん」


「よし、これで食材は十分。あとはおなべに切ったおねぎと、ほうれんそうと、お豆腐、それからお味噌を入れて、と」


「あとは余熱であっためて、お味噌汁のできあがり」


「んー。朝ご飯も用意できたし……そろそろ、おとーとくんのとこに行こっと」


//SE:近づいてくる足音

//SE:ふすまが静かに開く音

//SE:近づいてくる足音

//SE:足音が間近で止まる

//SE:身をかがめたときの、衣擦れの音


//観察するように

「じーーーー……」


//楽しげに

「ふふ、かわいい。いつもこんな風な顔、してればいいのに」


//当たり前のように

「それじゃあ、横、失礼するね」


//SE:布団の中に入る音


//鳴き声が、つい漏れた感じで

「あーお……」


「あったかいなぁ。それに、安心する、いい匂い」


//わざとらしく、うとうととしたように

「気持ちよくて、ねむくなってきたかも……」


//しれっと

「それじゃあ、おやすみなさい。すやー」


//少し間を空けて

//わざとらしく

「……ちらり」


//楽しげに

「ふふ、おはよ」


「きみが起きてたの、わたし、知ってたよ。おとーとくんのことなら、おねーちゃんはお見通しだから、ね」


「……というのは冗談で、わたしは耳がいいからね。おとーとくんが、わたしが料理しているときに起きていることも、気づいていました。ふふん。あやかしパワー、だよ」


//布団に入っている理由を問われて

「なんで一緒のお布団に入ってるか……? おねーちゃんがおとーとくんのお布団に入ることは普通のこと、だから?」


//姉ぶることについて咎められて

//当たり前のことを諭すように

「……おとーとくんは、たまに自分のほうが年上だーって言いたげな目で見てくるけど。でもね、年齢の上下より、弟子としての上下のほうが上なんだよ。なので、わたしはきみのおねーちゃんなのです。ふんふん」


「じゃあ、ご理解頂けたところで改めて、おやすみなさい。すやぁ」


//少し間を置いて

「……寝ちゃだめ? お師匠さまに怒られる?」


「……またお師匠さま、ちゃんと言うの忘れてるんだ。今日はね、お師匠さまは朝早くから、あやかし退治に出ちゃったよ。山二つ向こうにある村の近くに、悪さをするあやかしが出たから呼ばれたんだって」


//呆れ混じりに

「お師匠さまが稼いでくれるお金で、こうしてわたしたちが過ごせてるとはいえ……おとーとくんが来てから、今日でちょうど一年なのに。そんな日に、ここを空けるなんて」


「ひどいよね、まったく。修行中も思ってはいたけど、やっぱりお師匠さまは、血も涙もない鬼」


//耳元で囁くように

//誘惑するように

「ということなので今日は、わたしとおとーとくんの二人きり、だよ」


「お師匠さまの目もないし、修行なんてさぼってさ、今日は一緒に寝ちゃお?」


「こうして二人でお布団に入ってると、一人でいるよりも、あったかいよね。きっとこのまま寝ちゃったら、気持ちよく二度寝できるよ」


//返答の分、少し間を置いて

//少し呆れたように

「……それでもだめ? もう、まじめだなぁ。仕方のないおとーとくんだ」


「仕方がないから、起きてあげる」


//SE:布団から出る音


「よいしょ、っと。うう、やっぱりお布団から出ると、ちょっと寒いや。ほら、おとーとくんも起きて。はやく、はやく」


//SE:布団から出て、立ち上がる音


「ん、じゃあ両手を広げてー」


「それじゃあ、ぎゅーってするよ」


//SE:ハグの音

//密着しているので、耳元で

「……はい、ぎゅーーーー」


//満足そうに

「あーお……あったかい」


//少し咎めるように

「おとーとくんからも、もっとぎゅっとして」


「(ハグを堪能中の吐息)」


「……うん、朝のぎゅーもしたし、今日も元気いっぱいだ」


//距離を元に戻して

//正面で

「それじゃあ、今日も一日、おねーちゃんと一緒に頑張ろうね」

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