第8話

俺とエレノアは、騎士たちの追跡を振り切り、王宮の庭園を駆け抜けた。


手に握られた**スケスケレース**のパンティーは、絶えず俺に力を与え、疲れを感じさせない。だが、俺の心は、全く別のことで騒がしかった。


(くそっ、騎士団長は、今ノーパンで走っているのか……!)


俺の頭の中は、その事実でいっぱいだ。走るたびに揺れる、彼女の鎧に隠された腰回り。その下に、何も身につけていないと考えると、俺の心臓は、ドクドクと高鳴る。


「勇者様、どうしました?ペースが落ちていますよ」


エレノアは、俺の様子に気づくと、冷たい声でそう言った。


「い、いえ!何でもありません!」


俺は、慌ててペースを上げる。


しばらく走ると、エレノアは、王宮の壁に掘られた小さな穴の前で立ち止まった。


「ここを抜ければ、王都の外へと出られます」


エレノアは、そう言うと、静かに穴をくぐり抜けた。


俺もその後に続く。


穴を抜け、王都の裏路地に出ると、エレノアは、ようやく足を止めた。


「…ふぅ。これで、しばらくは大丈夫でしょう」


エレノアは、そう言うと、俺に向き直った。


俺は、どうすればいいのか分からず、ただ、手に握られたパンティーを見つめている。


「勇者様。いつまで、わたくしのパンティーを握っているおつもりですか?」


エレノアの言葉に、俺はビクッと体を震わせた。


「あ、すみません!すぐにお返しします!」


俺は、慌ててパンティーを差し出す。


だが、エレノアは、その手を静かに制した。


「いえ、結構です。それは、貴方の力です。貴方が、この世界を救うために必要なものなのです」


エレノアの言葉に、俺は驚き、顔を上げた。


「ですが、それでは、騎士団長は……」


俺が言葉を濁すと、エレノアは、少しだけ微笑んだ。


「わたくしは、もう騎士団長ではありません。王女様を裏切った罪人ですから」


彼女の言葉に、俺は、胸が締め付けられるような痛みを感じた。


エレノアは、俺の様子を見て、静かに言った。


「…それに、わたくしには、もう一つの使命があるのです。貴方の力を、この世界の運命を救うために役立てること。それが、わたくしの、新たな使命です」


彼女の瞳は、強い意志に満ちていた。


俺は、その瞳を見て、決意を固めた。


「わかりました。俺は、必ず、この力で、この世界を救ってみせます!そして、騎士団長、あなたのことも、必ず守ってみせます!」


俺の言葉に、エレノアは、ふっと、優しい笑顔を浮かべた。


「…ありがとうございます、勇者様」


その笑顔は、昼間の冷たい表情とは全く違い、まるで、氷が溶けていくように、温かいものだった。


俺とエレノアの、二人だけの旅が、今、始まった。


だが、この時、俺はまだ知らなかった。


俺のチート能力の秘密を、もう一人、知っている者がいることを。


そして、その人物が、俺たちの行く手を阻む、最大の敵となることを。

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