第7話

牢獄の壁を砕いた轟音は、すぐに王宮中に響き渡った。

「そちらだ!捕らえろ!」

騎士たちの怒号が、廊下の向こうから聞こえてくる。

「行きましょう、勇者様」

エレノアは、そう言うと、静かに走り出した。その足音は、騎士団長とは思えないほど静かで、まるで夜の闇に溶け込む影のようだ。

俺は、エレノアのパンティーを握りしめたまま、その後を追う。

手に握られたスケスケレースのパンティーから、絶えず力が流れ込んでいるのがわかる。それは、俺の全身を駆け巡り、信じられないほどの敏捷性と力を与えてくれた。

(これが、スケスケレースの力……!)

俺は、その力に身を任せ、エレノアの背中を追って、王宮の地下通路を駆け抜けた。

時折、巡回中の騎士と遭遇するが、エレノアは、そのたびに素早く剣を抜き、音もなく彼らを気絶させていく。その剣さばきは、まるで芸術のようで、俺はただ、驚愕して見つめることしかできなかった。

「…勇者様、ボーッとしていないでください」

エレノアは、俺の様子に気づくと、冷たい声でそう言った。

俺は、慌てて我に返り、再び彼女の後を追う。

しかし、俺の頭の中は、別のことでいっぱいだった。

(俺は、今、騎士団長のパンティーを手にしている……。ってことは、騎士団長は、今……)

俺の視線は、思わず、俺の先を走るエレノアの、鎧に包まれた腰へと向かってしまう。

(…ノーパン、なのか?あの、高潔で、凛々しい騎士団長が……ノーパンで、俺と一緒に、王宮を脱出しているのか……!?)

その考えに至った瞬間、俺の顔は、みるみるうちに赤くなる。

手に握られたパンティーが、途端に熱いものに感じられた。その感触が、エレノアの柔らかい肌を想像させ、俺の心臓は、ドクドクと高鳴る。

(だ、だめだ!こんな時に、何を考えているんだ俺は!変態め!)

俺は、頭の中で叫ぶが、一度膨らんだ妄想は、なかなか消えてくれない。

(この下着を、どうすればいいんだ?返すべきなのか?でも、もし返したら、俺の力がなくなってしまう……。でも、このまま持っているのは、あまりにも……)

俺は、自らのスケベ心と、勇者としての使命感の間で、悶々と葛藤していた。

だが、そんな俺の葛藤も、すぐに現実によって打ち砕かれる。

しばらく走ると、エレノアは、一つの扉の前で立ち止まった。

「ここです。この扉の先は、王宮の外へと続く秘密の通路です」

エレノアは、扉に手を触れると、静かに魔力を込めた。すると、扉の表面に、複雑な魔法陣が浮かび上がり、静かに扉が開いた。

扉の向こうには、冷たい夜風が吹き抜ける、王宮の庭園が広がっていた。

「さあ、急いで」

エレノアに促され、俺は、彼女に続いて庭園へと足を踏み出した。

だが、その時、背後から、一つの声が聞こえてきた。

「…エレノア団長!そこにいるのは、貴方ですか!」

声の主は、王宮の騎士団の副団長、ザビエルだった。

ザビエルは、数人の騎士を率いて、俺たちの前に立ちはだかった。

「騎士団長。なぜ、貴方は、あの罪人と共に行動を?」

ザビエルは、警戒心に満ちた目で、エレノアを見つめている。

エレノアは、その問いに答えず、ただ静かに剣を構えた。

「どいてください、ザビエル」

エレノアの冷たい声に、ザビエルは怒りに顔を歪ませた。

「貴方は、王女様を裏切るつもりですか!この男を、捕らえます!」

ザビエルは、そう言うと、他の騎士たちとともに、エレノアと俺に斬りかかってきた。

俺は、再び、エレノアのパンティーを握りしめた手に力を込めた。

(くそっ……!こうなったら、やるしかない!)

俺は、その力を全身に漲らせ、ザビエルたちに向かって一歩、前に踏み出した。

「勇者様!」

エレノアの制止の声が聞こえるが、俺は、もう止まれなかった。

俺は、その場で、全身の力を一点に集中させ、雄叫びを上げた。

「うおおおおおおっ!」

すると、俺の体から、眩い光が放たれた。

光は、ザビエルたちを包み込み、次の瞬間、彼らは、まるで石像になったかのように、その場に固まってしまった。

「な、なんだと……!」

ザビエルは、恐怖に顔を歪ませている。

俺は、その光景を、信じられない思いで見つめていた。

(これが……スケスケレースの力……!)

エレノアは、その様子を、ただ静かに見つめている。そして、俺に、ゆっくりと近づいてきた。

「見事です、勇者様」

彼女は、そう言うと、俺の肩に、そっと手を置いた。

「どうやら、貴方のチート能力は、下着の色だけでなく、その形状にも、大きな影響を受けるようですね」

俺は、エレノアの言葉に、ハッとした。

(そうか……。王女様の赤いTバックは、攻撃力。ブルーのTバックは、癒しの力。そして、エレノア騎士団長のスケスケレースは……身体能力を強化する力……!)

俺は、自分のチート能力の秘密を、少しずつ、理解し始めたのだった。

「さあ、行きましょう、勇者様」

エレノアは、そう言うと、俺を連れて、王宮の庭園へと、走り出した。

俺の異世界での旅は、王宮の地下から始まり、そして、新たな、そしてとんでもない仲間とともに、本格的に始まったようだ。

この後、勇者と騎士団長の関係はどのように進展するのか? そして、魔王討伐の旅は、どう展開していくのか?

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