第9話

王都から離れた森の中、俺とエレノアは、夜の闇に紛れて、静かに歩いていた。


俺の足は、エレノアのパンティーが与えてくれる力のおかげで、疲れを知らない。だが、俺の心は、まだ落ち着かなかった。


(俺は、本当に勇者なのか?そして、この力は、本当にこの世界を救うためのものなのか?)


俺は、手に握られたスケスケレースのパンティーを、そっと見つめた。昼間の光の下では、何も感じなかったただの布切れが、今、俺に信じられない力を与えている。


「勇者様。何を考えているのですか?」


エレノアは、俺の様子に気づくと、そう問いかけた。


「い、いえ……この力のことです。本当に、これでいいのか、って」


俺が正直に答えると、エレノアは、ふっと、小さく笑った。


「貴方の力は、貴方自身がどう思うかではありません。この世界が、貴方を勇者として選んだ。それだけのことです」


彼女の言葉は、俺の心に、すっと染み渡った。


「それに、貴方は一人ではありません。わたくしが、貴方を支えます」


エレノアは、そう言うと、俺の隣に並び、静かに歩き始めた。


(騎士団長が、俺を……)


俺は、エレノアの言葉に、胸の奥が温かくなるのを感じた。


しかし、そんな温かい気持ちも、すぐに吹き飛んだ。


俺は、ふと、背後から、何かの視線を感じたのだ。


「誰か、いますか……?」


俺がそう言うと、エレノアは、すぐに足を止め、警戒したように周囲を見渡した。


「気のせいではありません。魔力反応があります。それも、かなりの高位の魔術師の……」


エレノアは、そう言うと、静かに剣を抜いた。


その時、森の奥から、一つの声が聞こえてきた。


「…ふふふ。ようやく見つけましたよ、勇者様。そして、裏切り者の騎士団長」


その声は、甘く、そして、どこか冷たい響きを持っていた。


声の主は、森の闇の中から、ゆっくりと姿を現した。


その人物は、薄いローブを身につけた、一人の女性だった。その顔は、フードに隠されていて、はっきりと見えない。だが、その手には、不気味な光を放つ杖が握られていた。


「…貴方は……誰だ?」


俺が問いかけると、その女性は、小さく笑った。


「私は、魔王軍四天王の一人。暗黒魔術師の、リリスです」


リリスは、そう言うと、不気味な笑みを浮かべ、俺とエレノアに向かって、杖を構えた。


「王女様の命令です。貴方たちを、捕らえて連れ戻すように、と」


その言葉に、俺とエレノアは、驚愕した。


(王女様の命令!?なぜ……?)


混乱する俺たちに、リリスは、追い打ちをかけるように言った。


「それに、勇者様。あなたの力は、下着の色や形状だけではありませんよ。そのサイズや、使用済みか未使用か、にも、大きな影響を受けるのです」


リリスの言葉に、俺は、全身から血の気が引いていくのを感じた。


(な、なぜ、そんなことまで……!?)


俺は、手に握られたパンティーを、思わず強く握りしめた。


「さあ、勇者様。そのパンティーの力で、私と戦ってみなさい。そして、その力を、もっと、もっと、引き出すのです」


リリスは、そう言うと、杖から、不気味な黒い雷を放った。


俺とエレノアは、その雷をかわし、反撃しようとする。


俺の異世界での旅は、早くも、新たな、そしてとんでもない敵に直面したようだ。

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