静かな喪失感を感じさせる短歌が並んでいます。「死亡届」とあるので、もしかしたら、恋人か配偶者か、誰か大切な人を喪ってしまったのかもしれません。「古ピアノ」「おもかげ」「子供の頃」などなど。現在の喪失感の強さが、作者の心を過去の郷愁へと向かわせるのでしょうか。最後が「た」で終わる余情、最後が「て」で終わる余韻。それらが渾然一体となって、薫り高い詩情を生み出している短歌集です。推し短歌1首。地図アプリを閉じて思い出を辿る ふいに呼ばれたような気がした