不思議な国の子供達

名無し学生

第1話不思議な国の子供達

私の名前は、「ディアナ・スミス」十二歳の女の子。そして、運動が好きで本を読むのが苦手だった。私は読み書きができないし、勉強も苦手だから。ただ一冊だけ好きな本があった。題名は『不思議な国のアリス』


事件は丁度七年前の今日、あの日は冷たい風が肌を刺すような、それでいて雪は優しく降っていて、そんな日に私の親友、”ソフィアは失踪した”。私と同い年で同じような背丈、絹のような白い髪に雪のような白い肌。木の実のように赤く染まった瞳はとても美しかった。ソフィアは幼い頃から病弱だった。その日も体調が優れず寝込んでいたソフィアの部屋の窓や戸には鍵がかかっていたし、十九時までソフィアは部屋にいたはず。それでも私が来た時には遅かったらしい。ソフィアの姿はなく、ソフィアの部屋はいつも通り綺麗に整頓されていた。変わったことがあるとするになら、部屋の本棚から”不思議な国のアリス”の本が消えでいたこと…本は私がやっと抱えられるくらい大きい、そんな本を持って外に出ることも必要もない。それなのに本はソフィアと共に消えた。理由も根拠もない、野生の勘と言うやつなのかもしれないけど何かこの本がソフィアの失踪に関係あると思った。私の勘が違かったとしても私は頑張りたい。諦めたくない。大人はソフィアが死んだと言っていたけど…私はあの優しくて明るい笑顔を見たい。また私の話を聞いて笑ってほしい。色んな知らないことも本も教えてほしい。何よりも…あの”約束”を果たしたい。そんな覚悟を胸に私は眠りにつこうとしていた。時計は十時を指していて、チクタクトと時を刻んでいる。どうしてか今日はその音が大きく聞こえて恐怖を感じた。暗い部屋には何かいるんじゃないかって、次は私なのかもって、ただ少し怖かった。そんなことを考える度に胸の音が大きくなって、親友が辛いかもなのに寝れるわけないって…心の隅で私はソフィアに恨まれてるんじゃないかって、ソフィアを助けれなかった…いや、助けなかったって。

「ごめんなさい。」

わかってる。ソフィアがそんなこと思うはずないことくらい。ソフィアは私より頭もいいから死ぬはずないって、それでもどこか怖くて…声も手も震えていた。



気づけば時間が経っていてもう朝になっていた。今日は彼女を弔うためのお葬式がある。私は黒いドレスを身にまとい、髪を纏め終えると丁度母が私の部屋に来た。

「ディアナ、お別れの準備はできた?そろそろ行くよ。あの子が死んだのは悲しいけど頑張りましょう」

…母の無神経な言葉に怒りを感じつつ、私はいつも通りの笑顔で元気よく返事をした。

「うん!大丈夫だよ。行こっか」

悲しいなんて思ってもいないくせに。ソフィアの白い髪も紅い目も私の村では特殊な容姿で気味悪がられていたのは私も知っている。ソフィアには気づかれないようにしていたけど、この人達はソフィアの名前を呼んだこと何てなかった。だから大人は嫌いだ。それでも好かれようとしているのはソフィアのためだから。色々考えながら私はいつも通りの皆の言う”明るい子”を崩さずに廊下を歩き、居心地の悪さを感じながらお葬式の席につく。そのまま式は予定通り行われる。私は永遠に眠る彼女に菊の花を手向ける。

「さようなら」


式が終わった後、私は重い足取りと共にこのどうしようもない気分を軽くしようとソフィア達とよく遊んでいた薔薇園へ行った。庭には月明かりに照らされた綺麗な薔薇が見事に咲いていて、何故だか落ち着く…

「このまま寝てしまいたい…」

そう思った時一人の白髪の男の子が素早く私の前を横切って行った…男の子には”ウサギの耳”が付いていて可愛らしかった。いつの間にか眠気は覚め、不安と共に先ほどまで重かった足すら忘れ、私の足は動いていた。

「不思議な国のアリス…」

途端に思い出した。

「追わなきゃ…」








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

不思議な国の子供達 名無し学生 @nanasigakusei

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ