第5話 何かがおかしい
部屋に戻って見てみると、中には真っ黒な便箋が入っている。
書かれていたのは、
『通知』
『まじないは成功しましたた、破ったな』
なんか変だった。
「た」が二つあるのはまだそこまで変でもない。書き間違ったか打ち間違って、そのまま気づかずに入れてしまった可能性だってある。
でも〈破ったな〉って、なんのことだろう。
俺は何も破っていない。
そんなことを言われる覚えはなかった。
だからとりあえず便箋を封筒に入れて机の引き出しにしまった。
金縛りにあった。
封筒をしまってすぐに寝て、気付いたら全く動けなくて、でも目と頭だけは嫌に冴えていて、目の前には得体の知れない何かがいた気がするがはっきりとは覚えていない。
目が覚めた、と自覚したときにはもう全身汗だくで飛び起きた。
おかしい。
何かが、おかしい。
学校に行くと二度も燃やしたはずの木村透は生きていた。
どういうことだ。
なんであいつには
なにか条件が………?
ずっと考えていたらいつの間にか家に着いていた。朝のホームルームが終わったぐらいから記憶が無い。何してたっけ?
ポストを見ると、真っ黒な封筒が入っていた。
部屋に戻って中身を見てみると、
『通知』
『決まりを破るな』
なんなんだよ。
〈決まり〉ってあれだろ?
新品の半紙を使うとか、血は一滴だけとか、そういうやつだろ?
俺は何も破ってない。
俺は、ちゃんと守ってるだろ………。
流石に怖くなって今日の
〈決まりを破るな〉って…………俺なんか破ったのか?全然分からない。
お札のやつは確かに無視したけど………あれはただ一緒に燃やせますよ、的なことだろ。
別に必ず一緒に燃やさないといけないわけじゃないだろ。
なんなんだ。
なんなんだよ………。
その日はまともに眠れなかった。
そしてまた金縛りにあった。
今度は分かった。
目の前にいる奴がなんなのか。
得体の知れない化け物だってことだ。
それが分かると目が覚めた感覚があった。
確かに目も頭も冴えていて目が覚めていなかったのかと言われれば覚めていたのかもしれないが、感覚的にはあれは夢だと自覚している夢の感覚に近いのだ。
全身汗だくで起きた。
机の上にあの真っ黒な封筒が置いてあった。
恐る恐る中身を見ると、真っ黒な便箋。
『通知』
『まじないをかけました、直ちに逃亡を推奨』
何を言われてるのか分からなかった。
右手に便箋、左手に封筒。
ベッドの上で座り込む。
視線は便箋の文字に縫い付けられて、そして後ろに、なにかひんやりとした気配を感じた。
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