スキル「ゴミ」いやマジで / 新川 さとし
ジャンル:異世界ファンタジー
URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330667996401659
作品PR:よくある「ゴミみたいなスキル」ではなくて、スキルが「ゴミ」です。考えたら、日本のゴミって異世界だと宝物だろうなと思って書いてみたら、歴史チートで大陸統一することになっちゃいました。1話が長いので、3話までになってしまいますが、よろしくお願いします。
批評公開日:2025/10/14
対象話数:第3話 迄(12,284文字)
【三行あらすじ】
十二歳の誕生日に前世の記憶を取り戻したオレこと伯爵家長男のショウは、異世界で唯一『スキル』を有していた。
だが、そのスキル名は「ゴミ」。前世でゴミとして扱われる物を取り寄せられるスキルだった。
しかし日本ではゴミ扱いでも、この異世界では宝の山! 今、スキル「ゴミ」の無双が始まる……!
◉ 発想力 ◉
《GOOD ◎》
テンプレど真ん中の異世界転生&主人公のみスキル保有している作品。ゴミを木に変え——なんて漫画もありましたが、今作はゴミをゴミのまま、商いや外交に活用する。ナーロッパな世界観にリアリティのある貴族社会の礼節や価値観が上手く組み込まれています。
《BAD △》
現世から持ち込んだ物で無双する——系統の作品は、異世界系のみならずSFのタイムスリップものなどでもよく見られるネタなので、ここからいかにオリジナリティを発揮できるかが勝負所。拝読した第3話までではまだ特色が薄いため、可能なら早期に他作品と差別化できる『もうひとつ』が欲しい。
◉ 人物像 ◉
《GOOD ◎》
前世でコンビニ店員をしていたラノベ好きの主人公が、その経験と知識を活かしてスキルを駆使していく。語り口調の地の文もあり、主人公の人となりは汲み取りやすくなっている。第3話で登場する令嬢が主人公にいきなり好意的な部分も、著者あとがきで理由が後から明かされる事を補足し、読者に疑念を抱かせない工夫も見られる。
《BAD △》
かなり工夫は凝らされているが、それでも序盤から登場人物の固有名詞が多い。二人の妹と両親は出して良い。専属メイドと御用商人もスキルにまつわるイベントを絡めた印象付けがあるので良い。だが、屋敷内を同行した家宰や、ふたつの公爵家の家名を第2話までに出すのは過多だったように思える。第3話以降で公爵両家の詳細な話が展開されるのであれば、そこで初めて名称を明かす……くらいでも良かったかと。
◉ 表現力 ◉
《GOOD ◎》
妹や令嬢の容姿や、貴族階級の衣服について作者の知識量を窺わせる詳細な描写などがなされている。説明過多に感じられる可能性もあるが、作品の世界観を刷り込むには充分な描写。
《BAD △》
情景描写があまりに少ない。第2話にて主人公が執務室に呼び出されるシーンがあるが、人物や情景の描写がかなり後出しになる為、入室直後の台詞が誰のものなのか分かりにくくなっている。事前に家宰が「お館様」と呼ぶので家長の父親だと想定して読んでいたら、最初に掛けられた台詞は女性口調。その声の主が明かされるのは三段落後となっている。入室してまず主人公の目で見て分かる情景説明を挿し込むか、声の特徴などを描写し察させるなどの工夫が必要。
◉ 構成力 ◉
《GOOD ◎》
前述の通り主人公の語り口調で地の文が構成されているため、軽い読み口でテンポが良い。作品内の貨幣価値も具体例を出すことでイメージさせる工夫がなされている。
《BAD △》
世界観やスキル説明で仕方ない部分もあるが、地の文が続き過ぎるシーンが多め。口調のお陰で緩和されているものの、それでも長い。塩梅調節はかなり難しいですが、物語の進行に上手く挟み込む形で説明を挿入するのがベター。
◉ 展開力 ◉
《GOOD ◎》
主人公の立ち位置、能力の紹介、令嬢との会合——と、三話それぞれで着々と物語は進行しています。スキルの活用具合も序盤からしっかり出されているのは良い点。
《BAD △》
文字数あたりの進行具合は異世界ファンタジー作品としては遅め。貴族階級絡みの説明パートが長尺になっている点が原因か。その部分が本作で一番読ませたい部分なのであれば咎めませんが、物語に重きを置くなら、説明箇所を軽量化して進行速度を上げることも大切。
【総合評価】
■■■:発想力
■■■■:人物像
■■■:表現力
■■■:構成力
■■■■:展開力
⭐︎★★★(3.4)
【コメント】
作者の知識量が文章の端々から窺える作品でした。「ゴミ」として扱える範疇も意外と広いため、今後様々な物品が登場・活躍する展開も期待できます。
現代のゴミを活かした政略無双ファンタジーが読みたい方、オススメです!
作品名:スキル「ゴミ」いやマジで
著者:新川 さとし
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます