婚約者に捨てられ、親友に裏切られた私ですが――どん底からのストーリー / ワスレナ
ジャンル:恋愛/現代ドラマ
URL:https://kakuyomu.jp/works/16818792439346334621
作品PR:【人生の絶頂だった私、派手に逝きました!】大切な人たちから裏切られ、どん底に突き落とされた主人公、有動未春が、どのような経験をし、這い上がっていくかを楽しんでもらうストーリーになっています。
同時に、裏切った人たちがどういうことになっていくかを楽しんでもらえるようにもなっています。
批評公開日:2025/10/13
対象話数:第5話 迄(11,653文字)
【三行あらすじ】
大企業の御曹司と交際していた
そこで言い渡されたのは結婚——ではなく、別れと、彼の妻——未春の大親友——の紹介だった。
絶望の淵に立つ未春だが、その帰路で暴走車に轢かれそうになる老婦人を、彼女は身を呈して庇い……
◉ 発想力 ◉
《GOOD ◎》
婚約破棄されるが、人を助けた事で特別な力を授けられ、再興していくサクセスストーリー。ファンタジー色を織り込んだ現代ドラマな印象。得た力をどう活かしていくかが見所ですね。
《BAD △》
展開力と人物像、特に作品の根幹にも関わる部分なんですが、力を得る事に対する主人公の意識が軽薄に感じられる。詳細は別途後述しますが、物語の特色を出すために未春のアイデンティティを犠牲にしたように思えました。
◉ 人物像 ◉
《GOOD ◎》
婚約者と大親友に裏切られ、しかし憎まず、さらに荒れた心境でも身を張って人助けができる主人公の有動未春。彼女の行動から人となりが窺える構成になっているのが良いですね。特に第1話冒頭、他者目線での自己容姿説明は、早期に読者へ印象付けられる良い手法です。
《BAD △》
発想力の項で前述した点ですが、主人公の心の内での葛藤が足りていない。第2話にて、女神から三つの
◉ 表現力 ◉
《GOOD ◎》
場面転換ごとの情景描写挿入は適切。想像が難しくなりやすいシーンは比喩表現も混じえた工夫が見られる。
《BAD △》
細かな点ですが、第2話の情景描写から引用「白い石造りの柱が並び、まるでギリシア旅行で見たパルテノン神殿の写真の中に迷い込んだようだ。」具体性があって非常に良い描写なんですが、「写真」という部分は余計かと。わざわざギリシア現地に旅行したのであれば、実物を見たことにして良いと思われる。読者に「いや写真なんかーい!」とツッコミを入れさせるコメディ作品だったり、後々何かの伏線に使うのなら構いませんが、そうで無いなら臨場感とテンポ感のために省くべき箇所です。
◉ 構成力 ◉
《GOOD ◎》
全体的に一文一文が短く区切られており、とても読みやすい構成になっています。台詞と地の文も半々くらいの塩梅で、テンポ感も良い。
《BAD △》
時折、文の順序が不自然になる。第1話、婚約相手に裏切られ親友を妻として紹介されるシーンにて、彼に「紹介しよう……」と言われた後に主人公の心情描写・親友の容姿描写などが詰め込まれている。次の台詞までの時間的空白を考えると過剰な点もあるが、それ以上に主人公の心情「
◉ 展開力 ◉
《GOOD ◎》
裏切られ展開からの、事故に巻き込まれ、異空間で能力を授かり、現世にてその恩恵を受ける。非常に明快な展開構築が為されていて素晴らしいです。先々でざまあ展開が発生する事も予測できるので、そういうジャンルが好みな方をキャッチできる話作りが出来ています。
《BAD △》
発想力の項で前述しましたが、ふたつ目のカプセルに手を出すまでが早過ぎる。全部飲み切って、その能力を活かし——を想定した展開設計だとは思いますが、読者からすると作品の〝底〞が早期に見えてしまう形。せっかく三つの能力を好きなタイミングで得られる状況になったのなら、もっと引っ張って読者に「このカプセルはいつ活用されるんだ?」という期待感を持たせるべき。どんどん飲んでいくのなら、女神に「では三つとも与えましょう」とあの場で飲ませられた方が、主人公に対する心象も落とさずに済んだかと。未春の自己判断で扱えるようにした以上、飲まない決断をする場面も作って、上手く読者を焦らすのも展開を長続きさせるコツだと思います。今のは私個人の感想です。
【総合評価】
■■■:発想力
■■■:人物像
■■■■:表現力
■■■:構成力
■■:展開力
★★★(3.0)
【コメント】
ざまあ展開の現代ドラマに、ひとつまみのファンタジーを練り込んだ作品でした。文章も話の展開も非常にスピーディですが、少々進み方を焦り過ぎているように感じられます。序盤の掴みは悪くないので、各話の山場さえ確保できていれば、もっと丁寧に進行しても問題ないかと思います。
女性主人公が巻き返すサクセスストーリーを読みたい方、オススメです!
作品名:婚約者に捨てられ、親友に裏切られた私ですが――どん底からのストーリー
著者:ワスレナ
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