*コーカサス地方の類人猿
旧ソ連時代、ソ連科学アカデミー内に未知の類人猿を調査する研究機関が設置されました。冷戦下の宇宙開発競争と同じく、国家を上げてのプロジェクトは、西側諸国に対して科学的に優位な立場を示す一面もあったのかもしれません。
コーカサス地方で古くから言い伝えられるアルマスティと呼ばれる動物は、現生人類の特徴を備え、ネアンデルタール人やそれに類する未知の亜人類がその正体ではないかと言われています。
モスクワ大学の調査隊がロシアと中国の国境付近の山岳地帯で、広範囲な調査を行いました。その地方で目撃されるいわゆる雪男は、雪の残る高地よりも低地の森林地帯に現れ、遊牧民からはよく知られた存在でした。最新の機材を駆使して、生物の痕跡の採取や、生き物の鳴き声らしき音声の録音にも成功したと言います。その調査隊員の一人が、興味深い体験をしたので聞いてもらいたい。
調査のため駐屯していた村でのこと、深夜馬小屋から物音がするのに気付き、小屋を覗いてみた時でした。薄暗い小屋の中には村人が飼う馬が繋がれていました。隙間から差し込む月の光で、黒々とした馬の首筋が脈打つ様子まで分かったと言います。
段々目が慣れてくると、馬の背に小さな生き物がしがみついているのが分かりました。その生き物のシルエットは小型の猿のようで、時折月明かりが茶褐色の体毛に反射し輝いて見えたそうです。
その小さな生き物は馬の鬣を器用に編みこんでいました。暫くその奇跡のような光景を観察していましたが、馬が驚いた拍子に生き物は梁をつたって小屋から逃げてしまったそうです。寝ていた他の隊員も起こし辺りを捜索しましたが、とうとうその生き物を見つけることはできませんでした。
その後小屋の中を調べると、馬の鬣は確かに編み込まれていて、その編まれた毛は資料として今も大学に保管されています。
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