4話 別れ。そして試験の始まり。

穿つ。相手は一応勇者。だからこそ生半可な突きは通じない。完全術式の内容は勇者に対して全攻撃の有効化だ。だが、その前に勇者の鎧を破壊しなくてはならない。


「どでかい一撃!くらえ!【天冥落】!!」


刀を突きから上段の構えにし、力一杯振り下ろす。そこに一切の加減はなく、ただ相手を切る事を専念して振る。


「【神聖絶】!!」


人の祭壇魔法すら止める結界、、、だが、それは人外には全く及ばずーーー


バッキィーン


まるでガラスのように壊される。

これをまともにくらえば生きることは不可能だろう。


「詰み、、、だね、、、負けちゃったね、、、」


ドカーン!


刹那、周りに爆音が響く。生徒は唖然とし、二人の行く末を見るために我に帰り、煙が晴れるのを待つ。そしてそこに立っていたのはアラル、、、で倒れているのはアオマチ先生であった。


「、、、さよなら。青さん」


「、、、久しぶりに、、、言ってくれましたね、、、えーくん、、、」


そう、これは俺が菅原永利の頃。


僕は推薦入学ということで、学園に入ったのだが、周りに裏口入学といつも言われていた。まぁ、実際は確かにそういう感じだが、無理矢理何も言われず入れられた側なのでそんなこと言われても、といつも思っていた。

だからいつも学園ではひとりぼっちだった。そんな時だった。担任の青町心が話しかけてきたのは。


『こんなところで一人、、、どうしたの?』


僕が1人中庭で弁当を食べているとそう話しかけられた。


『見たらわかるでしょう。弁当を食べているんですよ。』


『1人で?友達と食べないの?』


『一緒に食べてくれる人がいないんですよ。それくらいわかってください。』


『んーそうだな、、、』


彼女は僕の地雷をどんどん踏んでくる、、、先生としてあるまじき行為だろと思っていた。


『ならさ、私と友達にならない?』


先生がそんな提案をしてきた。


『、、、え?は?、、、どういうこと???』


この時も、というか今もだけど、本当にあの人が何したかったのかよくわからない。

でも、僕のためだってことだけはわかった。


『でさ!やっぱ友達といえば名前で呼び合うけど、君はなんて呼べばいい???』


『ものすんごい唐突ですね、、、えーくんとでも呼んでください。こんな名前なんで女の子と間違われるし。お願いします』


『ふふっ、じゃぁ、えーりちゃんでいい?う、嘘だよ!えーくんね!じゃあ私はーーー』


『青さんで』


『え、青ちゃんでーーー』


『青さんで。無理です。言えないんで。』


『ムー、、、じゃあ、卒業、もしくはどちらかが死にかけた時。そうだな、、、私なら青さん。君なら最後に青ちゃんって呼んでよ!』


『、、、性格の悪い約束ですね、、、まぁ、いいですよ。ただ、どちらが死んでも恨みっこなしですよ。』


そんな事を中庭で話していた。



だからーーー


あの時言えなかったからーーー



「青さん、、、いや、青ちゃん。高校の時、、、ありがとうね。そして、、、さよなら」


「ふっ、、、ふふ、、、最後に、、、ありがと。えーくん。」


そして彼は先生を抱えて闘技場を去る。そして去り際にーーー


「ま、もう死なせないし、殺させないけど。」


そう言って寮へと帰るのだった。


《sideアカネ》


さっきまでの試合を一言で表すなら

理解不能。だろう。

かなりレベルアップしてある程度の戦いなら、、、それこそSSSとSSSの戦いなら見れるのにそれすらも超えていた。本当に、、、全く見えなかった。


「私も、、、まだまだなんだな、、、あの人の前に再び立つのは同じ土俵についた時にするんだ。」


そう呟いては私も闘技場を去り、鍛錬をするのだった。


「、、、次は、、、あいつにスルカ」


後ろにいるやつを知らずに、、、



そしてアラルのいるところにもーーー


「、、、なんだったんだ?こいつ。」


いたが、一瞬でボコられたようだ。全くもって可哀想で仕方がない。



日は変わり、試験当日。試験会場。

俺はクラスの前に出てある言葉をつぶやく。


「人は変わらない。何をしても外見というものが変わるだけ、、、だから、自分を変えに行くな。根本は変えられない。無駄でもいい相手を変えろ。それが俺から送る言葉だ。」


それだけ言ってこれからのことに集中する。


『それでは!第一クラス対抗試験!スタート!』


その声と同時に僕らは転移させられ、森の真ん中に配置された。


「さて、ここからは予定通り動け。しっかり名前を聞いて、アレが出たら逃げるように!」


僕らの作戦は至極単純。主人公に近づかず、他を狩り続ける。たまに要注意人物と当たったら他の隊と連絡を取り、2隊編成で行こうとしていた。


そこで俺が当たったのはーーー


「、、、一発目から当たるのお前かよ。まじ憂鬱だわ。」


「僕はそこまで君と話したことはないのだけど、、、何かしたかな?ものすんごいみんなに避けられるんだけど。」


この乙女ゲーの主人公シルフ。ラプラス伯爵家の者でーーー


「、、、喋るな。お前だけは嫌いでな。正直家ごと潰したい。、、、だが意味なく潰せば怒られるからな、、、ま、何事も問題ないがな。君の前に現れるのが僕で良かったよ。」


いやほんと。他のバカだったら完全に負けてたよ、、、だって勇者だからね。先生と同じ。


「どういう意味だ?君なら勝てるのか?」


「もちろん。これは傲慢ではない。事実さ。」


ゆびをならせば彼の前に一振りの鎌が現れる。


「、、、【神聖剣具】《無垢神恵鎌》俺の最強武器の7柱の1つ無垢神。ちなみに実戦で使うのはこれが初めて。相手にとって不足なし。いざ参る!」


「勝てる気はしなくても少しでも他の人に繋ぐんだ!」


そう言って思いっきり足を踏み込み、一閃を俺に向けて放つ。だが、それは俺には効かない。


「無駄な頑張りゴクローさん。」


実を言うと前半は俺はAクラス生徒陣営で、後半は先生陣営となる。、、、おっと、考え事をしていたらなんか攻めてきた。(遅すぎて)、、、あ、今日眠いな、、、

ふわふわと今日の夜ご飯なんだろなと思いながら軽くのしては、敵のいる位置を察知し、俺はまるで猛獣のように構え、一瞬でーーー狩るのだった。


「さあ、イッツショータイムだ!【大罪連】そして1年共!!」

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