3話 君は魔法の深淵の一部を見るだろう。

それから数日。俺の授業や、試験に向けてのチームワークをしっかり組んでいる。Aクラスはとっても優秀だと思う。Bクラスについてはオラウータン家の取り巻きが憎悪の目で見てくるし、Cクラスについては不良のようなやつしかいないので論外だ。

そして今は昼休憩で職員室で最近仲良くなった歳が近い天才令嬢とよく話している。それもこの少女、本当に魔法理論への理解度が高いため、本当に話していて楽しい。


「ソフィアさん。ここの術式なんですが、どう思います?火魔法の最適化になると思うんですけど。」


「そうですね、もう少し風の術式でここを補えば最適化としては良いのでは?」


「いや、そうなると暴発したんで、抑えた結果ですね。」


「そう言う事ですか。となると、、、いいのでは?と言うか、これ本当にすごいですね。術式の短略化。無詠唱でいくらでも出来るなんて、、、最高クラスにも程がありますよ。」


最近天才令嬢ことソフィアさんと話しているのだが、周りの男性教員に睨まれる。本当に、彼女が好きなら告って砕けろって毎回思う。

ソフィアさんはかなりの美人だが、アサネの方が可愛いし、茜の方がかわいいのでソフィアさんを恋愛対象として見ること、見たことはなかった。ま、だからこそ仲がいいのだと思っているが。


「あ、そろそろ次の授業なので行きますね。」


そうして俺は席を立ったが、、、実はまだかなり時間がある。では何故行くか、、、それはー


「おや、どこへ行くんだい?まだ時間では無いだろ?」


「あんまり貴方と話したく無いからな。ここらで準備しに行かせてもらう。」


「ん、、、それは悲しいな、、、毎回無視されると、、、そうだ。少しゲームしないか?ダルカナ君。」


「ゲーム、、、ですか?」


かなり真面目な方な彼女がゲームを仕掛けてくるのは珍しいと思い、足を止め振り返る。


「ああ、簡単なゲーム。この後の授業は確か決闘説明だったよね?その時、君と僕が全力で戦う。その時、僕が勝てば君は私と会って喋りかけたら君は私と話す。君が勝てば、、、一つ、願いを叶えよう。私のスキルなら可能らしいからね。」


確かにシンプルだ。勝てばメリットを得られ、負けたら彼と話さなきゃいけなくなる。それだけ。故に乗らない手はーーー無い。


「いいですよ。その提案、、、いや、ゲーム。受けて立ちましょう。」


と言うことで、青町とアラルは決闘することになった。


場所は変わり、決闘場。


「さて、、、負ける準備はできたか?青町先生。」


「君こそ、世界最強の座を取られる準備はいいのかい?」


「生憎、負ける気はさらさら無いんでね。じゃ、生徒も見てますから。始めましょか。」


「そうだね。始めよう。」


そして俺らは少し離れ、各々の武器を構え、、、沈黙し、、、誰かのくしゃみの音で僕らは動き始めた。


「神剣 幻死双剣 神名解放 幻死蒼剣ー叢雲!!」


「聖剣 天聖宝剣 命名解放 天星宝剣ー星落!」


絶対斬撃と星。どちらも強そうだが、その強さは解放力の差に分けられ、どれだけそれに向き合ってきたかに分かれる。最近来た青町にはそこまで詳細はわかっていない。だが、アラルは今までこの生まれてからここまで来るのに向き合ってきた。だからこそ、解放力が強いのはーーー


「出力は俺の勝ちだな。先生」


「そのようですね、、、少しなめてましたね、、、だから、、、勇者の力で、、、消してあげますよ!」


そこまでして俺と喋りたいのか、、、ただ勝ちたいのか、、、わからないが、こちらも負ける気は毛頭無い。出力で負けていない時点で負けるビジョンは見えない。

だが、勇者のスキル、、、ということは、、、あれかな、、、ならこちらも、あれで対抗するか。

       “ブレイブスラスト”

「勇者スキル!【勇者ノ炸裂】!!」


【勇者ノ炸裂】は一撃で魔のものを葬る最強の攻撃。もちろん魔以外のものにも強いが、一つ、それを無効化することが可能なスキルがある。それはーーー

      “ブレッドシールド”

「勇神スキル【勇神ノ巨盾】」


それ以上のスキルで圧倒する事。

それに気づいた青町はすぐさまそこを離れる。


「おっしいな、、、もう少しで自滅させれたのに」


先程の場所には自分が放った技が返ってきており、


「、、、君、明らかに戦い慣れしすぎじゃない?それにしても見たことあるような戦い方だけど。」


「、、、」


俺は今思い出した。この動きはアニメキャラの総合型。だからまさに理想の動きを追求したもの、、、だからこそアニメ好きだった青町先生の好きなキャラの戦闘方法があっても不思議では無いのだ。だから、それが完全にバレる前にーーー


「少し惜しいが、これ以上やって種がバレるのも嫌だからな。君に、魔法の深淵を見せよう。」


「勇者に魔法が効くはずないだろ?」


「確かにな。だが、それを可能にしてしまうのが魔法理論の深淵なのだよ。」


そうして俺は詠唱を始める。生徒にもわかるように。  

そしてそれは、ある子へ送る愛の歌。


「僕は世界の嫌われ者。いくら罪から逃れようとも、世界の神はそれを見逃さない。

罪は必ず僕に始まり僕に終わる。

生という名の生まれてきたという大罪。

死という名の定められた運命を否定した大罪。

孤独に生きた最強の神。希望と崩壊を操る半神の領域。

生と死すらもこの冥界という世界では無に帰す。

崩壊と希望溢れる桜の世界。


冥神魔法 死生冥崩希桜ー序曲」


その詠唱が終わると、周りが結界で覆われる。そして青町が見たものはーーー


「永、、、利?なのか?」


元の姿に戻った菅原永利だった。


「えぇ。お久しぶりですね。先生。菅原永利。死んだ永利ですよ。、、とりあえず。生徒も見ているし、、、最後までやりましょう。」


「わかった。後で教えてもらうぞ。」


「、、、まぁ、いいですよ。(生きていたらね)」


青町先生はまた構えたところで俺はさらに詠唱を続ける。


「君を思って描く最高の景色はいつしか新たな記憶へと変わる。

世界がいくら否定しようとも俺はこの光を否定しない。

孤独の僕を救った貴方に送る最初で最後の歌世界。


冥神魔法 否歌冥光桜ー間奏曲」


刹那、周り一帯に先程までなかった色々な魔剣が現れ、先生を狙う。


「、、、正直ここまで強いとは思わなかったよ、、、だから、こっちも本気で行かせてもらうよ。【聖躑】!!」


先生はバフもりもりで俺を狙ってスキルを放つ。確かにかなりの強さではある。だが、そこまで強いとは言えない。だって、僕から見たら勇者だろうがなんだろうが、ひとえに風の前の塵に同じだ。


「これはオペラと同じなんです。だから序曲、間奏曲、、、流れ的にどこに来るか分かりますよね?


さて、耐えたら勝ち、耐えれなかったら先生の負け。さあ、ショータイムだ!」


「君に聞きたいからこそ、負けるわけには行かないね!ここは意地でも勝たせてもらうよ!」


その言葉を聞いて僕は少し安堵した、、、いや、“安堵してしまった”。


「天の星に願った思い、それは届きもしない淡い思い。

だがそれは孤独の王によって叶えられる。

だが孤独の王に救いはない。

崩壊と希望、孤独の物語。


完全術式型魔法 古天神焉桜世界ー終曲」


そして俺の体は光に包まれ、光の鎧を纏い、先生の前に立ち塞がる。


「さて、、、最終ラウンドと行きましょう。」


異空間から取り出されたのは幾千万の中で一際目立つ俺のお気に入り。神刀政宗。僕が作っ五本の至高の一振り【神聖剣具】だ。それを先生に構えーーー穿つ。


「これが今の私の最骨頂ですよ!さあ!イッツショータイムだ!最強の力を見せてやる!」

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